クララの明治日記 超訳版第３２回−７

１８７７年７月１０日　火曜日　
昨日から色々のことがあったのに、なんだか書く気にならなかった。
おやおさんがおやめになる。婚約者の松平康倫氏が帰国なさるからだ。
おやおさんはとても利口で教えがいのある生徒だから、すぐに結婚なんかなさらないといいと思う。
または結婚なさっても勉強をお続けになるといい。
親指の痛みは治ったけれど、黒い斑点が残っている。
高木氏が尽力して下さって、テイが戻ってきた。
テイを診察した医者に「腰が弱すぎて兵隊には向かない」と云うように頼んで下さったのだ。
それで戻ったというわけだが、しばらくうちにいなかったせいか、前より口数が少なくなった。
テイはかけ替えのない使用人であり、立派な人物だから、戻って来てくれると本当に嬉しい。