Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第32回−8

1877年7月16日 月曜日
丁度二年前の今日、私たちはサンフランシスコにいた。
二年後の今、過去がまざまざと蘇る。
欠点も多く間違いも犯したけれど、私はこの二年間に随分経験を積んだ。
確かに年も取ったし、色々な身分の人とも数多く出会い、彼らの生活に驚くほど入り込みもした。
但し、私が彼らにどれだけ役立ったかは分からないし、問う勇気もない。
二年前、今年と同じような揉め事を起こしていた――つまり恋愛遊戯をしていた。
あの時の相手はジェームズ・プリーズで、今度は日本人。
今日も笠原さんはとても美男子だしその気もありそうなので、ふざけてみたい気持ちが起こったが、今までの教訓を思い出した。
「あなたたち、一冊の本を一緒に覗き込んでいるようですけれど、本はめいめい持っているのではありませんか?」
母がそう尋ねた時、私はそのような感情をさっと抑制した。
人には親切に振る舞いたいし、人からも愛されたい。
しかし、今襲われている惨めな気持ちはもういやだ。
溜め息をつくたびに肉一ポンド減ってゆく気がする。
大久保氏が約束の木犀草を送って下さったのだ。実に珠玉のような方だ。
私は心からのお礼を込めた手紙を書き、新聞を数部送ったが、それは大久保氏がうちへ訪ねて来る口実を与えるためだ。
大久保氏は馬鹿げたところもなく、面白くて気さくな、本当にいい方だ。