Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

クララの明治日記 超訳版第33回−3

1877年7月25日 水曜日
今年はまだ旅行に出ていない。計画はいろいろあるのだが、皆の意見が纏まらないのだ。
精養軒から食事を取るのは今日が最後で、また奮闘が始まることになった。
疋田氏が万吉という若いサムライを寄越したので、この夏は彼に料理を教えるのに忙しいだろう。
それに大阪からコレラも流行ってきたという! 
祖母が二十四時間のうちに亡くなったのもこの病気だった!
今日上杉氏のお宅を訪ねた。
麻布鳥居坂の綺麗な大名屋敷で、家からの眺望が素晴らしい。
大鳥氏のお嬢さんが上杉氏と結婚なさる予定なのだけれど、さぞうまくいくだろう。
この家は立派でもあるし、上杉氏には太閤様の頃まで遡る純粋な古い日本の殿様の血が流されているのだから。
上杉氏はストウ夫人の本を貸して下さった。絵もお上手でいらっしゃる。
お年を召したお父様と綺麗なお母様に紹介して頂いた後、上杉家を辞して、大鳥家に立ち寄った。
おゆきさんとおひなさんが在宅で、私は外に立ったまま二人と話をした。
「お姉様がお嫁に行かれると淋しいです」
そんなおゆきさんを励ますのも兼ねて、明日二人でうちへ来ると約束した。
またおゆきさんはお父様の別荘へいつか行こうと誘って下さった。
私の生徒の笠原さんはとてもよくやっているが、なんと指の爪の長いこと! 
それから帯は長さ十フィート、幅は三フィートもある。
この新しい生徒は“th”と“v”と“l”などの発音に大変苦労している。
「日本には、badgers(たぬき)が沢山います」
この文章が、笠原さんの口を解するとこんなにも意味が変わってしまう。
「日本には、bad girls(悪い少女)が沢山います」
本当に大違いだ。
でも、とても親しく自由に話をするので、私もその仙台弁に慣れてきた。
一昨日自分の写真をくれたので、私のアルバムには美男子の写真が一枚増えた。