Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第33回−8

1877年7月31日 火曜日
今日は一日中台所仕事で忙しかった。
家の中のことをする使用人はテイだけだが、ヤスがよく手伝ってくれる。
午後母とアディが出かけた後でケーキとパイを作り、カステラをまた作ってみた。
外観が綺麗に出来上がり、得意になっていたが、切ってみたら中は黒くてぼてっとしていたので、すっかり悄げてしまった。
テイが五時半頃に江戸橋に出かけたので、一人ぼっちになったが気にせず、お皿を全部洗って部屋を綺麗にした。
六時頃お逸が刺繍作品を持ってやって来たので、二階に上がって露台に坐っていたら、突然ひどい夕立が降ってきた。
「さてと。もう帰らないと」
「待って、母が帰ってくるまで待ってよ、お逸」
「でも何も云ってこなかったし」
「じゃあ、こうしよ? もし今度通る人力車がママのだったら帰っていいし、そうでなかったら今日は泊まりなさい」
「ええ、いいわよ」
それで一生懸命待っていると、次に来たクルマは母のではなかった。
従ってお逸は新左衛門をうちに帰して、今夜泊まると伝えさせた。
私たちはいろいろ話をして時間を潰した。
お逸は雨を降らす竜が本当に居ると信じている。
日本神話の大海竜も信じていて、実際に竜を見た人のことを真顔で話すので、わたしは衝撃を受けた。
それから狐や猫の精が人に乗り移ることも信じている。
尾の三本ある大きな黒猫に取り憑かれたご隠居の本当にあった<?>話をしてくれた。
それは見破られ、食事中にご隠居の財産の管理人に襖越しに槍を突き立てられて殺された。
ご隠居が化けていた物は女の姿になって死んだが、三日後に胸に槍の疵痕のある、三本の尾の大きな黒猫が庭で死んでいるのが見つかったという。
神様の話を聞き、神様にお祈りを捧げて、キリスト教徒と交際している人が、そんなことを信じているなどと考えるとぞっとする。
しかし考え直してみると、そんなに酷いことでもなさそうだ。
「全部本当にあったことなんだからね!」
お逸の真顔を見ていると、そのように思えてくる。
暑くて眠れず、私たちは十二時まで石のベランダで過ごした。
お湯がなかったので浴室へタオルを持って行って、井戸から汲みたての冷たい水で身体を洗いっこした。
お逸は私のベットで眠り、私はアディのベットで眠った。
ベッドに入る時はまたいろいろ愉快なことがあった。