Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

クララの明治日記 超訳版第33回−11

1877年8月7日 火曜日
今朝、朝食直後にダグラス夫人がみえたので驚いた。
母に一緒に開拓使に行って欲しいというのだけれど、通訳役の私が午前は行けないので、お昼まで待って頂いて、その後すぐに出かけた。
人力車の車夫たちと随分揉めたが、こんなことは今までになかったことだ。
ダグラス夫人は何もかもお気に召さないようだった。
昨日吉沢氏がうちにみえたので、今日は行かないつもりだったのだけけど、役所に着くと、お辞儀の多い役人たちにすぐ見つかってしまった。
花を買いに花畑へ行ったが、ダグラス夫人の態度はひどかった。
何か厭な臭いでもするかのように、鼻を上に向けて歩き回り、思いつけばどんな不愉快なことでも私に通訳させようとした。
訳すのは構わない。
構わないけれど、たとえどんな相手にでも乱暴な言葉を使うのは、わたしは大嫌いだ。
しばらくしてから「野菜を買ってこい」と云われて役所に戻ると、吉沢氏と他の数人の役人がいて、丁寧に挨拶し、席を譲ってくれた。
私は長い間、面白半分に目と耳を働かせながらそこに坐り、黙って彼らの冗談を聞いて楽しんでいた。
彼らは私をどうもてなしたらよいのか気になるらしく、ドイツ語と英語の農業関係の無味乾燥な本を沢山持ってきて「読めますか?」と尋ねた。
「一冊だけ読めない」
そう云うと、とても驚いていたが、彼らにはドイツ語も英語も同じに見えるようだ。
吉沢氏は、林檎の様々な種類が日本語のカナで書いてある本を持って来て云った。
「英語で、それも筆記体ではなく活字体で書いて頂けませんか?」
ダグラス夫人が入って来た時、なんという婦人かと聞かれたが、私は勘定書きのことだと思い、即座に「四十セント!」と答えたので、役人たちが皆お腹を抱えて笑った。
今夜、お逸がうちに泊まりに来たので、縁側でゲームをしたり、なぞなぞ遊びをしたりして過ごした。
お逸に虫拳という面白い遊びと謎々を教わった。謎々は次のようなものである。
「広いザシキに貝殻がどっさりあって、真ん中に黄色い瓢箪のあるものはなあに」。
答えは「ザシキは天空で、貝殻は星、瓢箪は月」である。
他にも面白い謎々がいくつかあった。