Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第34回−3

1877年8月22日 水曜日
おやおさんとおすみが七時半に来たが、私も早起きしていて助かった。
お祈りの後、三浦夫人がみえたが、今日は赤ちゃんを連れていなかった。
変わった感じの扇子を下さったが、私たちのように大分日本に住んでいる者にとっても珍しい物だった。
今日のおやおさんを見てとても嬉しかった。
三浦夫人と優雅に応対し、落ち着き払って通訳して下さったのである。
一年も習っているのだから当然とはいえ、習ったことを実によく理解している。
母も私も大得意になった。
午後開拓使へ行くと、吉沢郷党氏がにこにこ顔で迎えて下さった。
バチェルダー氏もおられたが、役人たちは母と私を特に丁重に扱ってくれた。
吉沢氏は贈り物として巨大な西瓜を下さり、私たちはとうもろこしと葡萄を買った。
吉沢氏が貯蔵していた桃は、缶に入れておいたもの以外は、皆駄目になってしまったそうだ。すももの保存の仕方を習いにうちに来たいと云われた。
パチェルダー氏は葡萄について話をしようとなさったが、長年この国におられるのに、日本語でも最悪の言葉を少ししか話せない。
日本人のような礼儀正しい国民の中にそんなに長くいるのだから、日本人の優雅さを少しは見習うべきだと思う。
とてもひどい振る舞いをするので、私は役人に謝らなければならなかった。
今まで外国人と日本人を較べて考えたことがなかった。
確かに我々は身体的に、そして多分知的にも勝っている。
――しかし東洋人は、少なくとも人前で撮るべき態度をちゃんと心得ている。
骨董屋の一人が困ってうちに助けを求めに来た。
彼は築地四十八番地に住むある外国人に花瓶一対を売ったのだけれど、その外国人は「手元にお金がないので、明日取りに来てくれ」と云った。
それで翌朝行ってみると、なんと!
「そんな花瓶なんて買ってない、花瓶なんか一つもない」
そう云って荒々しく彼を追い返したという。
なんと恥ずべきことなのだろう!
それも外国人がそんなことをしたなんて! 
肉屋のジョン・ホールという人だ。
他には、洗濯屋の親戚の女の人も来た。
主人がある清国人のために大工仕事をしたのだが、その賃金のことで揉めているので、うちに助けを求めに来たのだ。
どんなに貧しかろうと、私たちがこの人々の役に立てるのも神様の思し召しだと思うと嬉しい。