Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第34回−5

1877年8月24日 金曜日
昨夜はなんとも暑くて暑くて、二時まで誰一人一睡もできなかった。
アディはすっかり暑気あたりをしている。
松平定敬氏のお使いで小泉氏がみえた。
「蕎麦菓子の作り方はないだろうか?」
松平氏は今とても体の具合が悪く、血をお吐きになるので、何を召し上がってもおいしくないそうだ。
静養のために精養軒にお泊まりになる予定だ。
母とウィリイとアディは横浜へ行き、私だけが残った。
お逸を訪ねたのだけれど、留守なのでがっかり。
勝夫人と他の家族の方々がとてもよくもてなして親切にして下さったのだけれど、なんだか変な感じ。
いつも誰か英語の話せる人がいるのに、今回は自分の知っているだけの日本語に頼らなくてはならなかったからだ。
英語で話すと通じないので、恥ずかしいのも忘れて日本語で一生懸命お喋りをした。
すると夫人は大変喜んで下さった。
屋敷中を案内して下さったけれど、特に、一人の少女がお琴の稽古をしているところを見学した。
先生は盲目の老人で、ひどく声が潰れていた。
小さな少女は、とても苦しそうに足先を外に向けて畳の上に坐っていた。
長い間お邪魔してから帰宅すると、露台で本を読んでいる富田夫人がみえた。
夫人のお話によると小野寺氏が清国から帰られたそうだ。矢野氏や原川氏よりも懐かしい、前の理事の方だ。
森氏が清国にいらっしゃるので、今夜お宅で大きな会合が開かれている。
立派な紳士たちが馬や人力車で入っていくのがさっきから見える。
夕方、愛宕山のマツリに行って、とても面白かった。
神前のグロテスクな踊りを見、輪になって太鼓を奏している神官たちの音楽に耳を傾けた。
私たちを見ると何故か彼らは笑い出して、笛が吹けなくなってしまった。
楽しく過ごして十時に帰宅したが、家から一町ばかりのところまで来た時、人力車の提灯が壊れ、巡査が来たので降りて歩かなくてはならなかった。