Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第34回−9

1877年9月7日 金曜日
昨日母と横浜へ行くつもりだったが、雨で取り止めたので今日行った。
とてもよく晴れた申し分なく爽快な秋の朝だった。
お昼頃暑くなってきたけれど、不快と云うほどではなかった。
同じ客車の中でミス・キダーに会い、母は話をした。
アディは日本人の一行と無理して近づきになった。
居留地では二、三箇所しか寄らず、まっすぐ山手地区へ行った。
ヘップバン夫人はお待ちかねで親切にして下さった。
母と夫人がずっと話をしている間、アディと私は珍しいものもなく、かなり退屈してしまった。
ハツとサダに会いに行ったがあまり面白くなかった。
門屋さんにも会って井戸のそばで少しお喋りをしたていたのだけど、彼は咎めるように云った。
「この夏はもう来ないと云ったではありませんか!」
だから私は予定を変更して来た理由を説明しなくてはならなかった。
ヘップパン夫人が「二階に行ってご覧なさい」と云うので行ってみたら、ハンカチの箱があって、ピンクのものが入っていた。
それは私の誕生日の贈り物で、綺麗なピンクのスカーフ――フィラデルフィア製の本物だった。
母たちは一日中ウィリイのことを話していた。
ウィリイは医学博士になるため、横浜のシモンズ博士のところで勉強することになったのだ。
夫人が母に云われたそうだ。
「もしクララさんが自分の娘だったら、日本人のために駄目にならないうちにアメリカに送り還すでしょう」
楽しく汽車に乗って家に帰ってみると、杉田武氏がお土産を沢山持って来ておられた。
母は大きな肥前焼きの鉢、父は漆器の煙草入れと菓子一折、ウィリイは豆本、私は真紅の綺麗なスカーフ、アディは可愛いピンクのネッカチーフを頂いた。
帰国して初めての外出だったそうだ。