Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第44回−8

1878年4月4日 木曜 万愚節
十時に家を出て、まずお逸のところへ病気全快祝いを云いに行った。
私は歓迎され「ゆっくりしていくように」と云われた。
次に福沢先生の所へアルバムに書いて頂くために行った。
彼は上機嫌で部屋に入って来られるなり、あらゆるお世辞を一気に並び立てられた。
でも私の願いに対しては、意地悪っぽく、やんわり断られた。
「困りましたね、私は字は書けないのですよ。この辺に書の上手な人なら一杯いますよ。誰か呼んできましょうか?」
「いえ、私は先生の書が欲しいのです」
「それでは何か上手い文章を印刷してあげましょう」
「そうじゃありません、私は先生に書いて欲しいのです」
それでやっと笑いながら福沢先生は降参された。
けれど、他の人の書も書いてある私のアルバムを見ると「本当に困り果てた」という様子になり「どうしても書けませんね」と云われた。
特に勝氏の書かれた歌を見て嘆息され、有名な大先生も本当に困っておられた。
「私の字は大下手で、本当にこの方たちと一緒のところに書くことなんて出来ませんよ」
もっとも先生の言葉はみんな冗談なのだ。
そのあと私は大鳥家へ行った。
けれど、病人があったりして、淋しそうで、不景気だった。
お雛さんは五月十五日に結婚なさるそうだ。
けれど、ちっとも嬉しそうではなく、立派な家柄を有り難く思わない様子だった。