Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第47回−6

1878年5月22日 水曜日
昨日の午後はお客様がひっきりなしにみえたので、九時半になってやっと夕食にありつく有様。
聞いた話によると、ジョージのところに手紙があまり沢山来るので、警察が新聞を発行していると思って家に張り込みをさせ、聞き込みをしたそうだ。
ディクソン氏とマーシャル氏に昼食に招かれていたので、母とウィリイと私は十二時にディクソン氏のお宅へうかがった。
家を探しながら行って、通り越してしまったので、ディクソン氏が帽子も被らずに門のところまで飛び出してこられて、額に手をかざし、もう片方の手をさかんに振って合図された。
初めはぎこちなかったけれど、昼食が済んで客間に移り、美術品などを見せていただいているうちに打ち解けてきた。
アルバムにディクソン氏のお母様――とても美しい立派な老婦人――のお写真があった。
ミス・ディクソンは十八歳でお兄様似の綺麗な方だ。
他に少女が二人と青年が二人いた。
それからロバート・スミス氏の着物姿のなんとも云えず感じの悪い写真もあった。
ディクソン氏も袴に刀を差した写真があったが、いかにも悪いことをしているというような顔つきだった。
おうちにはいろいろの綺麗な美術品があり、将軍の奥方のものだったというお琴もあった。
先生の席が低いところにあり、一番後ろの椅子は天井にくっつきそうになっている階段教室を通り抜けて、大鳥氏の所管する工部大学校を見学しに行った。
化学教室や美術教室に行ったけれど、そこでは大勢の男子学生が建設の製図をしていた。
博物館にも行ったみたのだけれど、いろいろの珍しい収集品がいくつか分類してあった。
地質学教室は興味を持とうと私は一生懸命努力した。
しかし正直一番つまらなかった。
「非常に貴重な物なのですよ」
そう云われる石の欠片をとくとくと眺めたけれど、当然のことながら、ちっとも面白くはならなかった。
それどころか、あまり眼を使ったので眼の方が痛くなってしまった。
この興味深い学校の中を散策し、図書館も見学してから、ディクソン氏のうちに帰った。
途中でヴィーダー先生夫妻に出会い、夫人は私たちと一緒にマーシャル氏のうちまでついて来られた。
そこにはお茶と本物のスコットランドのカラスムギ菓子が用意してあった。
ヴィーダー夫人は俗っぽい人だ。
床に伏せっているジェニーの症状を大きな声でぺらぺらと喋って不愉快だった。
「わたくし時々お腹が普段の二倍にも三倍にも膨れてしまいますの。ですので、お茶は全然頂けませんわ」
夫人はそんなことを云いながら、お茶碗になみなみと一杯召し上がった。
私はケートとスージーという二匹の子猫にすっかり心を惹かれてしまった。
特にケートは私に懐いてきた。
「良い人間を見分けることができるからですよ」
ディクソン氏にそう云って頂けて嬉しかった。
とにかく一部始終を書くわけにはいかないけれど、とても楽しい一日だった。
「クララさんたち私たちのお陰で薄暗い家が明るくなりましたよ」
ディクソン氏にはそう云われ、ホートン夫人は子猫を二匹届けて下さった。