Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第47回解説

【クララの明治日記 超訳版解説第47回】
「ということで、その時、歴史は動いた。遂に“その時”が来てしまいました。
1878年5月14日、赤坂の紀尾井坂、清水谷において大久保利通卿が暗殺されたことで、日本のその後の進路は少なからず変わることになります」
「その割には日本で流行だという“架空戦記”や“架空歴史物”で“大久保利通が暗殺されなかったら?”という非常に“現実性の高いシチュエーション”が描かれているところは見たことありませんわね」
「……正直、当時の人間にも、後の世の人間にも好かれていないからね。現にうちの父様だって、才能は認めるものの、大久保氏本人は大嫌いだったみたいだし。
だけど、鉄の意志を持って明治日本のグランドデザインを築き上げたのは間違いなくこの方だし、暗殺される日の朝、福島県令山吉盛典に対して告げたと云われる
『ようやく戦乱も収まって平和になった。よって維新の精神を貫徹することにするが、それには30年の時期が要る。それを仮に三分割すると、明治元年から10年までの第一期は戦乱が多く創業の時期であった。明治11年から20年までの第二期は内治を整え、民産を興す時期で、私はこの時まで内務の職に尽くしたい。明治21年から30年までの第三期は後進の賢者に譲り、発展を待つ時期だ。』
清廉潔白にして冷静な理論家、人には好かれなくとも鉄の意志で政府を統率していた大久保氏によってこの構想が実現されていれば、明治日本は長州閥を中心とした藩閥体制ではなく、もっと秩序だった立憲君主体制が出来ていたでしょうね。
その結果、政治だけでなく、軍も必然的に長州藩出身者主体の陸軍偏重ではなく、陸海の均衡した兵制が敷かれ、第二次大戦時に見られた陸海軍の反目も……って、全て可能性の話だし、そんな“イフ”の話を読んでも面白がる読者なんていないだろうからねー」
「現実的すぎる政治家は何処の国でも好かれないものよ。少なくとも民衆サイドからはね。
逆に理想論を唱える政治家は耳心地がよいですもの」
「国会で所信表明演説もせずに、諸外国に脳味噌お花畑な構想をぶち撒けにいって、国民から喝采を浴びる政治家が現実に存在するのを見ると、その通りだと思うよね。。。」
「ですけれども、大概その脳味噌お花畑政治家の理想論で最終的に一番割を喰うのは民衆なのですけれどもね。彼らは現実に自分の生活が侵害されるまで気付きも致しませんわ。
わたくしの祖国で云えば、某毛主席による某文化革命もそうですけれども」
「……メイ、全然伏せ字になってないって。
ちなみに大久保氏の次男である牧野伸顕伯爵の曾孫が前首相の麻生太郎氏だというのも、歴史の皮肉、というより必然なのかな?
ちなみに牧野伯爵はリベラリストとも知られていて、二・二六事件では軍部から襲撃されているし、第二次大戦後、鳩山一郎氏追放後の自由党総裁にも推されているけれど、老齢のために断ってる。父親である大久保利通氏と同様、その死後には殆ど財産が残っていなかったという清廉潔白ぶりもね」
「……なんだか“歴史の意趣返し”をそのまま現代において見せつけられている気が致しますわね、勿論“悪い方向”で」
「仕方ないわよ、選んだのは当の民衆ですもの。予想が外れて“少しは良い方向”に向くのを祈るばかりよ。
さて、最後にもう一つだけ大久保卿暗殺についてのエピソードを一つ。クララの日記の中で“難を逃れた別当”という記述がありますが、この時、大久保氏の別当が殺されていたら、日本の音楽会の未来も変わっていたことになります」
「ん? どういうことですの?」
「この別当の名前は、瀧吉弘という名前でね、内務官僚として大久保氏に仕えていたのだけれど、この翌年に子供が生まれるのよ。子供の名前は滝廉太郎。“荒城の月”や“箱根八里”“雪やこんこ”の作曲者として歴史に名前を残すことになります」
(終)


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