Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

クララの明治日記 超訳版第48回−1

1878年5月28日 火曜日
一日中土砂降りで、夕方には上がって欲しいと思いながら、家の中で過ごした。
母は休暇が待ち遠しいのだ。私も母のために休暇が早く来ればよいと思う。
八月には日光に行くつもり。
ディクソン氏も同行して二週間日光におられ、それから琵琶湖に行かれる。
晩には雨が上がったので、銀座通りのキリスト教協会での、グリスビー教授のソクラテスについての講演を聞きに行くことができた。
夫人の出席者はごく少数だったけれど、大勢の男性と聴衆が集まっていた。
議長のディクソン氏がそわそわしながら開会の挨拶をされた。
でも私たちが到着した時には、階段の天辺にいて、私たちを大いに歓迎して下さった。
おまけに、手を貸して二階まで案内して下さった。
ところで、兄のウィリイは人をからかうのが大好きだ。
「二人の手が蜜でくっついたみたいだな」
ディクソン氏が私の手を引いて下さった時にそんなことを云って私たちをからかってきた。
ビンガム公使もみえていたけれど、確かに席まで直接ディクソン氏が案内して下さったのは、ビンガム氏と私たちだけだったのだから、私たちは大事なお客様ということになる。
ソクラテスについての講演は短く、簡明で素晴らしかった。
けれど、グリグズビー氏の発音が舌足らずなのだけは惜しかった。
アテネの人たちは酒を飲んだ時だけ踊ったけれど、ソクラテスは健康のために毎日一人で部屋の中を踊っていたそうだ。
とにかく面白くてためになるお話で、こういう博識の講演を聞けてよかったと思う。
マーシャル氏も来ていたが、これは不思議なことであった。
彼は宗教的な集会や礼拝堂は大嫌いなのだ。
かつては熱心なクリスチャンで、築地教会の長老だったにもすすわらず、思慮の浅い友人にからかわれてから神を見失い、礼拝に出席しなくなった。
母はマーシャル氏の精神的幸福のことを心配している。私たちは毎朝のお祈りの時に、彼のためにも祈ることにしている。
友人であるディクソン氏に対し悪い影響を与えていると思うからだ。