Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第48回−2

1878年5月29日 水曜日 
今日という日は、我が家の人々にもたらされた悲しみと、悩みの故に永遠に忘れられない日となるであろう。
父は、我々の敵である矢野の仕業で、東京府から免職になったのだ。
父は六月一日をもって、この学校を去らなければならない。
故国へ帰っても、父は実業とは縁が完全に切れている。
年齢の関係で新しい職場を見つけることはできない。
それのみならず帰国する旅費さえない。如何ともし難い状況。
神様のみが私たちを救って下さることができる。
私たちに必要な糧を与えて下さることができる。
仮にアメリカに帰ったとしても、私たちの家は何処にもない。
ペロナの不動産もフランクリン街の家も五年契約で貸してある。
いろいろ計画してみるけれど、どれも問題があって決められない。
私はアメリカに今すぐ帰りたくはない。
ビンガム夫人やお逸や、ディクソン氏たちのような親しいお友達と別れたくないのだ。
もっともこの方たちは、私たちがいなくなっても別にどうということもないだろう。
ただ矢野と縁が切れるのだけは嬉しい。
矢野は暴君で、人使いが荒すぎる。残酷な容赦のないブローカーで、絶対に損をしないように振る舞う。
彼に出会ったのが、私たちの不幸の始まりだった。
人々を圧迫した罪に対し正当に裁かれますように。
みなし子ややもめを圧迫する悪人は、たとえ緑の月桂樹のように繁茂しても、やがて伐り倒されて枯れるであろう。
母は横浜へウィリイを呼び戻しに使いを出し、夜の十一時に兄は帰ってきた。
兄は悩みの時に大変頼もしい。
兄には何もできないと分かっていても、彼の強い言葉を聞くだけで慰められる。
富田氏にも使いを出して、どういうことか説明を求めた。
私はガシーのところへ出かけた。明日の晩パークス夫人の舞踏会に出かけるそうだ。
ジェニーがブラウン先生のところから戻ってきた。
エマのところにも寄ったが、彼女は私に会いたくてたまらなかったと云った。
ああ、禍の日。