Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第48回−4

1878年6月1日 土曜日
昨日今日は本当に悲しい日々だった。
それはどうしようもなく、ただ待つより仕様のない時の生命を食い潰すような悲しみである。
待つことは何よりも辛い。
私はもっとしっかりして、耐えなければならないのだけれど、今日は完全に挫けてしまった。
それは精神力の足り無さか、それとも栄養不足のためである。
こんな状態では食事が喉を通らないのだ。
自分の至らなさを恥ずかしいと思う。
それはチヨの癪と同じようなものだけど、私は涙がどっと流れてしまうのだ。
今日が六月の一日だということを私は忘れていた。
六月一日は父の失職する日だ。
母の嘆きは見ていられない――それは記憶しておくだけで、記録に留めるべきではない。
「クララ、私はどんなことがあってもあなたの味方だからね!」
お逸は同情の涙を流しながら、私の手をしっかり握ってくれた。
何もしないで物思いに沈んではいられないので、授業はいつものとおりに行った。
お昼に矢野、マイヤーズ、成瀬隆蔵の三人が我が家の前を勝ち誇ったように家の方を見上げながら通って、精養軒へ食事に行った。
矢野はいまだかつて一度も父を精養軒に招いたことはない。
しかも学生の前で「マイヤーズに仕事の引き継ぎをするように」と父に云って寄越した。
なんという屈辱!
アメリカを離れる前にブラウンとの間に起こった悶着を私は思い出した。
父は母と知り合って以来、いつも困難に出くわしているらしい。
そして不思議にも父の味方になってくれる人はいつもいないのだ。