Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第50回−4

1878年6月22日 土曜日
昨夜床に就いたのは十二時を回っていたので、私たち一家が起き出したのは九時過ぎ。
ネリー・アマーマンの甲高い声で目が覚めた。
彼女はアディと遊ぶためにやってきたのだ。
お昼に新しい赤ちゃんを見に、母と富田夫人のところへ出かけた。
しかし、道すがら私が行くのは早過ぎるということになり、母だけが一兵衛町に行って、私は勝家に行った。
勝家ではとても親切にして下さって、古い作法の本を一杯見せて下さった。
それは興味深い面白い本だった。
「マーシャル氏にあげるために百人一首を買ってきて欲しい」
母のお使いに、お逸と私は芝に出かけ、一ドル二十五セント払って一冊買ってきた。
でも勝夫人に云わせると「昔はたった二十五セントでしたよ」。
帰ってから勝夫人が私たちのためにお茶を点てて下さった。
それから私に綺麗な刺繍のある清国の扇を下さった。
みんな親切にして下さるのでとても楽しかった。
帰り道で麻布坂を下りてくるディクソン氏を見かけた。
私は敢えて知らん顔をして通り過ぎようと思った。
けれど彼は足を早めた様子で、道の分岐点の大きな木のところまで来た時に呼び止められてしまった。
しばらく立話をしてから私の人力車の横にくっついて工学寮まで歩いて来られた。
とても陽気でお話好きで、来週の火曜日に予定されている富士山についての講演に招待して下さった。
そのお返しに、私はヘップバン夫人から彼に伝えて欲しいと云われていたこと――横浜のアジア協会での彼の講演が大変面白かったこと――を話した。
彼は夫人を深く尊敬しているので、夫人に褒められたことはとても嬉しい様子だった。
いろいろお互いに冗談などを云って別れ、私は家に帰った。
それから森夫人のところへ行って、遅くなったお詫びを云い、ピアノの稽古をした。
レッスンの後、森氏の素晴らしい中国の収集品を見せて頂いた。
夫人の骨董品は、中国のお寺で買われた醜い小さい仏像である。
でも夫人はとても良い方だ。