Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第53回−8

1878年8月11日 日曜日
昨日郵便が着いて、沢山の手紙が来た。
その中にセアラ叔母さんのが入っていて、ホイットニーお祖父さんの死を報せてきた。
お祖父さんは六月十八日に苦しみ悶えながら亡くなった。
二週間悪寒や熱や足の激痛があって寝ていたが、そのうちに毒を含んだ血液が心臓に達してしまったのだ。
もっと若い人であったら、医者は膝の下から切断しただろう。
けれど、七十八歳では手術には堪えられなかったのだろう。
その結果、誕生日の一日半後には亡くなってしまった。
お祖父さんは親切で同情心が深く、とりわけ熱心なクリスチャンであって、とても良い人だった。
父宛ての手紙の中に、いつも死を平然と眺めている様子が窺われた。
信仰の厚い人だから死を恐れてはいなかった。
今は天国にいて聖人になった故人に混じって、救い主の輝くお顔を拝し、亡くなった親しい友達ばかりでなく、昔からの大勢の信仰篤い人たちと親しく交わっておられるだろう。
今度の便で着いた悪い知らせはこれだけではなかった。
アメリカでの私たちの事情は悪化して、フランクリン街の家を売らなければならないかもしれない。
お祖父さんとお祖母さんが住んでいた家、リビー叔母さんが生まれた家。
なんとかして売らずにすみますように。売られたら母は悲しむに違いない。
親戚のフランク・リグビーが家族みんな――メイム、セアラ、ジョージー、マリオンを入れて――の写真を送ってくれた。とても立派な家族である。


教会ではヴィーダー先生のお説教を聞いた。
家を出る時にご近所を回って、お子さんやお母様方に「日曜学校に誘っておくように」と使用人のカネに頼んでおいた。
午後一時に四人の子供が来たが、うち二人はいつも勉強に来ている生徒だった。
みんなが坐って絵の描いてあるカードに興味を持ち始めた頃に、小さい足音が遠くからばたばたと聞こえてきたと思ったら、一団の子供たちが現れた。
そしてちょっと躊躇ったが、そのうちに入って来たお兄さんたちのそばに坐った。
みんな女の子で綺麗な着物を着て、手足を綺麗に洗って来ていた。
そのうちに二人の身なりのきちんとした初対面の老婦人が戸口に現れると、子供たちが口々に云った。
「ご隠居様だ!」
とても感じの良い老婦人で、中に入ると深々と頭を下げ、いろいろ親切な言葉を述べた。
一人は壮次郎と元千代を教えて貰っているお礼を述べ、もう一人は孫を教えて欲しいと云った。
私は自分の大胆さに内心びくびくしながら、神様の話をした。
神様が私たちみんなをお創りになったこと、小さい者を愛されるイエス様のことを。
時々老婦人がたが口を挟んで私の言葉に同意し、質問をした。
私が話し終わると一人が「毎日曜日に教えて欲しい」と云い「こんな老人の耳に有り難いお話が入っていくものかしら」とも云った。
とても楽しい会だった。
「主我を愛す」を歌ってから、みんなにお祈りするから手を合わせるようにと云った。
隣に坐っていた老婦人が私に倣って手を合わせると、組み合わせた小さい手の上に、小さい頭が一斉に下がり、私は「この人たち全てと私の拙い努力を、天の神様がお守り下さるように」と心をこめてお祈りした。
きっと神様は聞いて下さったと信じる。
もう一つのクラスは雨のせいか集まらなかった。
でも、私にとっては本当に恵まれた聖日であった。
このような日曜日がまたたびたび来ますように。