Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第54回−3

1878年8月20日 火曜日
しばらく日記を書く気にもならなかった。また書く機会もなかった。
お逸が木曜日の晩、私の家に泊まり、金曜日ずっと一日いたが、夜は蚤と騒音に悩まされたようだ。
おやおさんは発疹で寝込んでおり、盛はチフスに罹ったので授業はお逸だけ。
マギーがアディの部屋に泊まっているので、お逸やアディと一緒に勉強している。
中村正直氏と息子さんが朝早くみえた。
富田夫人はとても意地の悪い仕打ちをした。
出産祝いに大きな夕食会をなさって、私たちのお友達――勝家の方々、福沢夫妻、村田夫妻、杉田夫妻等々を招かれたのだが、後で私にこんな言い訳をなさった。
「ほんのちょっとした会をしましたが、お客様は少数のご存じない日本人ばかりだったので、ご迷惑と思ってお招きしませんでした。いずれ別の折りにお招きしたいと主人が申しております」
私たちは除け者にされたという気がしないわけにはいかない。富田氏はアメリカにいた時とは違ってしまった。
今日の午後、村田夫人が私を上野に案内して下さるために着飾ってやって来た――私が昨日お願いしたのだ。
今日はとりわけ愛情深く振る舞った――何回もキスをし、手を握りしめた。
正直に云うと、村田夫人は私には些か難物なのだ。
他の人の前では傲慢そのもので、冷ややかな尊大な態度を取るのに、私と一緒の時はとても愛情深く、アメリカの女の子よりも一層愛情を示される。
私にとってはそれが迷惑かもしれないなどとは片時も思わない。
私が外国人だから、そういうのが好きだと思い込んでいて、外国人は皆キスするから私もキスが好きだと思っている。
上野から帰ってきて桜田門のところで別れた時も、ご自分の人力車から飛び降りてきて、大勢の日本人の前でキスされるので、私は恥ずかしくて顔が真っ赤になってしまった。
本当に変わったお人だ。
村田氏は今月奥様を連れて行ってご親戚に引き合わせられるそうだ。
日曜日にお逸と私で子供たちを教えたがとても楽しかった。