Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第55回−2

1878年8月23日 金曜日
授業が済んでから昨日貸していただいたフリーザーを返しに、器にいっぱいのアイスクリームを持って勝家に行った。勝提督はアイスがお好きなのだ。
お逸もおせきも留守だったけれど、奥様がおいでになって楽しい話し合いをした。
家に帰ってきてから、母と一緒に中村氏を訪問した。
とても上機嫌で、いろいろためになる話をされた。
「是非ホイットニー夫人に教鞭を執って頂きたいのです」
そう誘ってくれている麹町上二番町にある私立桜井女学校のことについて相談した。
中村氏はその学校の桜井昭悳氏のことはご存じないけれど「聖書を教えたいというなら悪い人ではなかろう」とのことだった。
桜井氏は教会を持っていて、うちの母にそこの牧師になって欲しいと頼んできたのだ。
「しかし一度女学校を見てから、慎重に考えた方が良いでしょう」
そういって中村氏は、ご子息の一吉氏に「ホイットニー夫人達と一緒にその女学校を見に行くように」と言いつけられた。そんな事情で、私たちは中村氏のご挨拶や、またいつでもいらっしゃいという言葉を後にして出かけた。
桜井女学校はすぐに見つかった。
見つかったのだけれど、残念ながらご主人はお留守。
夫人の桜井ちかさんがご在宅で私たちに会われたのだけれど、どうにも首を捻るよう話の流れになってしまった。
夫人はあまり若い方ではなく、はっきりそれと分かるユダヤ人の顔立ちなのだけれど、しきりに「私の学校」「私の教会」「私の生徒」というよう云い方をされる。
加えて中村氏の質問に対し、ご主人は学校とはまったく関係がないこと――学校は完全に奥様の所有であることを説明された。
元を正せば、夫人は横浜の山手二一二番地やタムソン夫人の学校であるB6番女学校で勉強していたらしい。
タムソン夫人自身もしばらくこの学校で教えていたが、今は子供さんのことで手一杯でお辞めになった筈だ。
その後、桜井夫人とタムソン夫人は不仲になったらしい。
母はそんなところで教えたためにタムソン夫人の反感を買って、宣教師仲間を私たちの敵に回すようなことをされると大変だと判断した。
そういうわけで多分あそこは断念することになるだろう。
殊に皇后様の学校でも母に教えて欲しいと云ってきているのだから。
役に立つ仕事がありますように。