Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第56回−6

1878年9月4日 水曜日 
今日は土砂降りの一日。
今年はよく雨が降るけれど、雨は嫌いじゃない。
お昼に父から言付けがあった。
皇后様の学校の柴田氏という方が、息子さんを連れて夕食にみえるというとのこと。
それで私たちはご馳走を作った。
五時頃、長い灰色の髭のある長身の、威厳のある老人がみえた。
衣装は長くゆったりしていて、全体として家長の風格のある方であった。
彼が入って来られた時、母はアブラハムのことを連想したほどで、まるで聖書の中から出てきた古代のユダヤ人を思わせた。
この方はいろいろの楽器を上手に弾かれると云うことだ。
一方、息子さんのキクさんはまるっきり違った感じ。
背が低くて色白の丸顔で小さい下がり目をしていて、少女のようにはにかみがちに首を傾げていた。
私たちは最初英語でしか話せない振りをしていた。
キクさんの通訳は間違っていたから彼は英語が半分も分かっていなかったと思う。
間もなく、ご老人は私が日本語が分かることを発見され、専ら私を相手に話をされた。
息子さんはそれが大いに不服で、父上が私の日本語を褒めると、部屋を出て行ってしまった。
しかしそのうちに機嫌を直し、夕食後には「もっといるように」と父上に頼むようになった。
それでも「アブラハム」は自分たちの天幕に戻らなければならないと云った。
柴田氏の要件は、母に皇后様の学校で教えて貰いたいというものだった。
その後、柴田氏は石川県に現れた奇妙な虫の話をされた。
毛虫のような形をしていて、松の木を喰い、後では蝶になる。
蝶の卵から松食い虫が生まれるが、その敵がその虫を食べてしまう。
一つは卵の中に虫とその敵とが入っており、同時に孵るが、生まれつきの敵同士なのである。
今日は村田氏もみえた。
毎年の二百十日、二百二十日、二百三十日には台風が来る恐れがあると云われた。
ちなみに今日は二百十三日である。