Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

クララの明治日記 超訳版第56回解説

【クララの明治日記 超訳版解説第56回】
「まずは先週の最後の『この話題は来週もほんのちょっとだけ続くんじゃ!』の続きから」
竹橋事件の続きですわね」
「8月31日分にある『兵隊の再度の反乱があったにもかかわらず』というところと、楠本知事との会話のシーン、そして9月3日分にある『先日の反乱の首謀者も逮捕された』の後の件だけど、これが『謎』なのよね」
「最初の竹橋事件とクララの記憶がごっちゃになっているんじゃありませんの?」
「それがどうにも8月30日に『何か』があった事は確からしいのよね。
残っている新聞の記録だと8月31日付の『東京曙新聞』に、大体こんな感じで書かれているの。『三十日夜、警視本署で巡査を非常招集し、銃器弾薬を渡し、およそ三百人が繰り出して赤坂御所や大臣参議の邸宅を固めた』とあって、9月5日付の『東京日日新聞』だと『8月30日夜のゴタゴタにて、小川町、神保町辺に住む者は、何となく心落ち居ぬに、何者の業か今度は小石川の砲兵本廠を焼き払うのと云いふらすゆえ』と書いてあるの」
「当時の新聞はいい加減なところがありますもの、風説で書いたんじゃありませんの? 現に前者の記事については数日後に訂正記事が入ったそうですし、8月30日の晩の風雨は余程ひどかったことはその他の当時の日記にも出てきますわよね?」
「それにしては、クララの書き方が確信的なのよね。新聞の訂正記事は揉み消し工作だとも考えられるわけで。9月3日の記述は、普通に日記を読み取ると8月23日夜の事ではなく、8月30日の晩のことと考えるのが普通じゃない?」
「普通かどうかは分かりませんけれど、確かに、基本的にクララの日記は時系列はそれなりにしっかりしていますわね。過去の日記を付け足す時は遡ってその日の近辺で書いているようですし」
「でしょでしょ? だから“実は8月23日の方が陽動で、8月30日の方が本命”というネタで」
「またそれですの、貴女は? 結局予定していた竹橋事件近辺を素材にした短編は書けなかったのでしょう?」
「……今後も鋭意努力致します、はい。。。」
「さて、そんないつになるか分からない話はさておき、再び登場の楠本正隆東京府知事の解説を更に付け加えますわよ。
この方は以前解説した通り、大久保利通から“天下随一の県令”と評されたほどの能吏であったと同時に文化にも明るく、新潟市の白山公園を日本初の国立市民公園として整備したことでも知られていますわ」
「長崎の大村藩の出身で薩長勢力にそのまま取り込まれなかった分、最終的には衆議院議長まで務めることになる政府高官としては、生涯を通じ比較的民権派寄りの姿勢を貫けたみたいね。実際人柄も良かったのは、今回のクララとの会話からもよく分かるし」
「逆に云うと、倒幕運動でかなり重要な役回りを演じたにもかかわらず、同藩の渡辺昇と同様、県知事や議院の議長止まりなのですわね。幕末維新期、留学していて何の活躍もしていないにもかかわらず、薩摩藩出身だからという理由で若くして高官となった森氏に対しては、何かしら思うところはなかったのかしら?」
「思っても口に出さない人たちだと思うけどね、楠本氏も渡辺昇氏も。後者に至っては、幕末にガチで新撰組とやりあえた程の剣の達人だし」
「伊達に“鞍馬天狗のモデル”とされているわけではありませんのね、渡辺氏という方は」
「だけど結局“鞍馬天狗が望んだであろう未来”に辿り着けたのかは極めて疑問なんだけど」
「新年早々、鬱になるようなオチはおやめなさい!」
(終)


と云った所で、今週も最後までお付き合い下さった方、有り難うございましたm(_)m。
最後まで読んで頂けた方、拍手ボタンだけでも押して頂ければ幸いですm(_)m。ご意見・ご感想、質問等も随時募集中ですのでお気軽に拍手で。