Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

クララの明治日記 超訳版第59回−9

1878年10月23日 水曜日 
一日中雨だったが、忙しくてそれさえ気付かないほどだった。
母は今夜自分の口座に入れて貰うよう、八五〇ドルの銀行小切手をシモンズ先生に渡した。
私はブルースさんのための小包を作り、リビーおばさんのためにも作った。
それから美しいサインと詩に対するお礼の手紙をビンガム公使に書き、朽木氏に紹介する手紙をビンガムご夫妻宛に書いた。
今夜父と母がビンガム公使に用があるというので、私も一緒に築地へ出かけた。
公使はとても親切でお父さんのようであり、私のお祖父さんにそっくりに思えた。
はじめ公使夫人は、荷造りに忙しくて誰にも会えないと云われたが、やがて私たちが来ていると聞いて、会いに下りて来られた。
夫人はいろいろ親切な言葉をかけて下さった――特に母や私に対して。
私たちのことを心から愛してくださっていると思う。
今朝皇后様から頂いたというう白とピンクのお菓子を出してくださった。
しばらくお話ししているうちに、ホートン夫妻が入って来られたので、私たちはお暇した。
公使はやさしく別れの言葉を述べられた。
「五ヶ月後にまたお会いしましょう」
夫人は戸口まで見送って下さって、涙とキスと握手のうちにお別れし、胸が塞がる思いで帰ってきた。
外は冷たい風の吹く寒い夜だったので、私たちはもう一台の人力車を雇い、雨と風と霧の中を帰って来なければならなかった。