Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第60回−1

1878年10月27日 日曜日 
今朝はアレグザンダー先生が「信仰」について説教された。
終わってから、七年間私たちの牧師であったヴィーダー先生が、会衆にお別れの挨拶をなさった。
それは感動的な情景だった。
先生が私たちに話しかけられた時には、胸の中に感激を覚えない人はいなかったし、眼に涙を浮かべていない人もいなかった。
婦人たちの中には、声を出して泣いた人もあった。ガシーやブリンドー夫人もその仲間だった。
次いでインブリー氏が、場馴れのした雄弁な口調で、会衆を代表して先生に御礼を申し上げた。
それは私たちの敬愛する牧師に対する感動的な賛辞であった。
ヴィーダー先生は明日出発され、インドとヨーロッパを回って帰国される。
ご家族、つまりガシーやジェニーは十一月の汽船で直接カリフォルニアに帰ることになっている。
今夜私がオルガンを弾き、母とアディは本を読んでいた時に玄関の銅鑼が鳴った。
私が戸を開ける決意を固める前にもう一度鳴った。
カネも、フジも、ヤスも、外出していたので、私は錠を回している間にアディにランプを持ってきて貰った。
ようやく戸を開けると、外にディクソン氏が立っていた。
私は本当に吃驚した。
というのは、つい今しがた母がこう云っていたところだったのだ。
「今夜みたいな時にディクソンさんが見えるといいのに」と。
中に入った時にそのことを云うと、彼も私たちと同じようにその偶然の一致に驚いた。
しばらくお喋りして過ごしたが、来日したばかりの二人の若い男性が家を訪ねて来たがっており、ディクソン氏に紹介して欲しいと頼まれたとのことだった。
そのあと歌を歌ったりオルガンを弾いたりした。
お帰りになったのは十時過ぎ。
私は蝋燭を付けて三日月の明かりの中へ彼を見送った。