Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第62回−3

1878年11月16日 土曜日 
母と一緒に布を買いに町へ出た。
よいお天気だったので、気持ちよく散歩して途中から車に乗り、虎ノ門のところで母と別れた。
私はまずド・ポワンヴィル夫人の家に行った。
昨日勝家からの帰途「子供達の写真を撮るのに写真屋に案内して欲しい」と頼まれていたのである。
夫人は私の来るのを待っておられたので一緒に出かけた。
最初浅草の清水東谷館に行ったのだけれど、そこの子供の写真は夫人のお気に召さなかった。
というわけで、私の嫌いな内田写真館に行ってみた。
次に銀座に出て二見写真館に行くようにと車夫に命じたのだけれど、やんちゃなマリーがどうしてもじっとしていないので、今度またご主人が来られる時にすることにした。
家に帰ってみたら招待状が二つ来ていた。
一つはブランシェー夫人からで、もう一つはシェパード夫人からのもの。
ブランシェー夫人のところは、遠すぎて行けない。
というわけで、私はシェパード夫人の方に行った。
富田夫人が迎えに来て下さり、私はおめかしをして出かけた。
スコット夫妻、ジョードン氏、駐米領事柳谷謙太郎夫妻などがみえていた。
領事は陽気でアメリカ化されている。
今は和服の夫人は洋服もお召しになるのだそうだけれど、きっと似合わないと思う。
彼女は最大限に日本の技術を用いても美しくはならない。
今洋服の世話をしているフェノロサ夫人は、通訳を通さないと話ができないので、私に世話して欲しいというのが柳谷氏のご希望である。
楽しい夕べではあったけれど、あまり高尚な集まりではなかった。
話題は主として、謎とか、お風呂のこととか、女優のことだったからだ。
それと見るのも恥ずかしいような絵もあった。
でも柳谷氏は大変愛想が良く、私は彼とスコット氏の間に腰掛けていたのだが、彼は私と名刺交換し、奥様を訪問するようにと云った。
夫妻は今月の二十四日にサンフランシスコに発つのだそうだ。
宮城に近い四谷に住んでいるので、一緒に帰ってきた。