Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第64回−3

1878年12月2日 月曜日 
お逸と大山夫人が今朝みえたが、その時間、私は村田氏のところでカメヤとストーブを買う交渉をしていた。
村田氏は今日大変沈んでいらっしゃる。
彼のところの一番上手な作業員が機械で指を切断してしまったのだ。
新たな生徒となった大山夫人はよくおできになる。
良い発音でお読みになるし、字も上手である。
一時には島原の芝居に行く支度ができ、約束通りシェパード家へ迎えに行った。
森氏のご招待による忠臣蔵の鑑賞だ。
私たちは大勢の団体であった――シェパード夫妻、ジョードン氏と私たち。
森夫人が待っておられて、私たちは彼女の使用人<大勢連れてきておられた>に案内されて、左側の二階の席に着いた。
ここは椅子に掛けられるし、舞台が非常によく見える。
芝居は有名な「四十七士」の第三幕のところをやっていた。
若狭之介が憎き師直の前に出ようと、お城の外で彼の一番の家来の袂に財布を滑り込ませ買収しようとしているところである。
次の場面は師直と判官の間の会話。
これが喧嘩になり、四十七士の復讐の原因となるわけだ。
ここが芝居の三段目に当たるらしい。
師直卿が顔世夫人を侮蔑して彼女の和歌を破り、塩谷の顔に唾をかける場面では、塩谷、つまり浅野内匠頭が怒りを抑えて意地悪の老人を討ち取ることを我慢しようと努めている様子が、まざまざと描かれていて、本当に見事だった。
彼は刀の鍔に手を掛け、怒りと嫌悪にわなわなと震える。
ついに我慢できなくなり、煌めく刀をさっと抜いた。
そして傲慢な老人の頭に一撃を加えたところで、従者たちが駆け寄って師直を助ける。
続く塩谷の「腹切り」はもっとも感動的な場面で、私は発作を起こしそうになった。
私が笑い泣きしてしまったので、マレイ夫人は気付薬を鼻に当てて下さった。
勘平の場面では、お軽が京都の茶屋に売られるところで、周囲の観客は感動している様子だった。
そして勘平の自殺の場面ではそばの席の数人の乙女たちの胸が張り裂けるようだったし、後ろの席の青年たちが立ち上がって瞳を輝かし、勘平の勇気に酔っていた。
私たちが見た最後の場面は内蔵助が主君の仇を討つ陰謀を悟られないために京都の祇園町で遊楽に耽っているところで、昔の仲間が彼の行為に愛想を尽かしている様が描かれていた。
お軽は平右衛門を通して勘平の死を知り、自殺しようとするが内蔵助に止められる。
ここまでで八時半になり、母はアディのことが心配となり、私たちはマレイ夫人と一緒に帰ってきた。
でも私は最後まで見たかった。
また誰か行くかもしれないから見られるかもしれない。
私は芝居にすっかり魅せられてしまい、もっと見たいと思う。
芝居の途中で、向かい側のお茶屋で素晴らしいご馳走を頂いた。