Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第65回−2

1878年12月10日 火曜日
勝家の方々は、とても親切にくださって毎日必ず何回も訪ねて下さる。
でも引っ越し以来、まだ勝氏にだけはお会いしていない。
「クララだけじゃなくて、家族である私たちだって会ってないんだよ」
とは、お逸の弁。
勝氏は訪ねて来る人には必ずお会いになる。
けれど、それ以外は書斎に閉じこもっておられるそうだ。
しかし誰もが勝安房守の気高いご性格のことを褒めている。
私はド・ボワンヴィル夫人のお伴をして、三河台のベイリー夫人の家へクリスマスキャロルの練習に行った。
ベイリー夫人は、私たちの家からそう遠くないところにある素敵な家に住んでいる。
古い大名屋敷で、美しい日本式の庭園がある。
室内の木材は漆塗り。唐紙には金箔を貼り、昔の宮廷人を絹地に描いた絵がかけてある。
集まったのはそう大勢ではなかった。
ウィラン夫妻、ベトン氏と背の高い美人の夫人、ショー先生夫妻、ディクソン氏、ターリング氏に私たちである。
楽しい練習を終えて十時に帰ってきた。
ディクソン氏が私たちを送って下さるとと仰ったが、ド・ボワンヴィル氏が迎えに来て下さったので、一緒に歩いて帰った。
ド・ボワンヴィル氏が私とド・ボワンヴィル夫人の間に入り、ディクソン氏とターリング氏がその両側に一人ずつという横隊である。
月が美しく、外は気持ちが良かったし、愉快な方々と一緒だったのでとても楽しい行進だった。
「この辺りは貴族階級の屋敷町なのですよ、虎ノ門に近いですから」
ディクソン氏がそんな説明もしてくれた。
家の玄関まで私を送って下さって皆さんはお帰りになった。