Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第66回−4

1878年12月23日 月曜日
母はお昼に横浜に行ってしまったし、アディはネリー・アマーマンのところへ遊びに行ったので私は一日中独りきり。
オルガンを少し弾き、羽根をついて暖まってから裁縫をしたり、書き物をしたりした。
家の中は静まり返り、書き物をするのにはとても具合がいい。
木挽町でも永田町でも戸外で絶えず何かが起こり、書き物をするのは不可能に近かったからだ。
今日は勝家の大掃除の日。
皆さんは午前四時起きだ。
ただし、勝氏と小鹿さんは掃除が嫌いなので外出してしまわれたそうだ。
畳も敷物も全部外に出して隅々まで竹の棒で叩き、障子を外して床を洗う。
女性十人で大掃除をして、夕方には完了していた。
ところで、こういった大掃除の時に大名屋敷で行われる奇妙な習慣がある。
女中たちが一人の青年を選んで胴上げするのだ。
一人の女中がこの男性の袖に手を掛けると、これを合図に元気の良い女中たちが笑いながら彼に向かって突撃し、逃げる間もなく彼は高々と胴上げされてしまう。
そうして、胴上げしておいて、床の上にどたりと落とすのだ。
そして起き上がるとまた襲撃される。
女中たちは大喜びだが、気の毒なのは犠牲になる男性である。
勝家では小鹿さんは真面目過ぎるし、梅太郎は若すぎるので、犠牲に選ばれたのは七太郎さんというサムライ。
彼は背の高い屈強な男性で、蹴ったり、引っ掻いたり、噛みついたりして勇ましく抵抗した。
頑丈なおきくを突き倒し、おせきを引っ掻き、おえいに噛みついて、自分も歯を一本折るというすさまじい奮戦振り。
それでも女たちはめげず彼を掴まえては投げつけたので、終いには悲鳴をあげて降参した。
大きな笑い声や悲鳴が、松、椿、竹などの植え込みの向こうから聞こえてきた。
大変な騒ぎだった。
この後は新年の準備のため、新しい着物を縫ったり、餅をついたりするのだ。