Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第67回−4

1879年1月2日 木曜日 
お正月の二日目となると、あまり早くは起きなかったが、昨日と同じようによく晴れた一日だった。
午前中に何人かのお客様がみえた――伊藤氏、田中氏、富田氏、村田氏、滝村氏など。
母とウィリイは加賀屋敷に出かけたので、私は一人留守番をした。
午後になって落ち着きかけたところへサイル先生が幌付き人力車に乗っておいでになり、日本音楽についての私のエッセーを見たいと仰った。
前にディクソン氏には辛い点を頂戴したものだったが、サイル先生は大変よく書けていると褒めて下さった。
「ボストンに送って印刷して貰うようになさい」
先生がそう云われたので、多分そうすることになるだろう。
それから、マレイ先生が福与氏と一緒にみえて、勝氏の昔の実力のことを話された。
「でも今では隠居なさって、骨董品や文学の趣味に耽っておられます」
箕作氏も来られたが髭を剃ってしまったので、はじめ誰か分からなかった。
いろいろお話になったのだが、こんな事を知らせて下さった。
東伏見宮がクララさんたちに会いたいと仰っていますよ」
この後ポート氏、レーシー氏、ターリング氏がみえ、その次にアンガス氏がこの上なくスマートな出で立ちで訪ねて来られた。
私はあまり大勢の若い男性方がみえたので困惑し、何を話題にしていいか分からなかった。
そのうちに、はじめの三人が帰り、アンガス氏だけが残った。
「私の言葉に訛りがありますかね?」
そう聞いておいて、私が曖昧な返事をすると彼は次のように続けた。
「ディクソンは自分に訛りがないつもりで、ユーイングの訛りを笑っているが、スコットランド訛りのないスコットランド人なんているものですか」
この後、中原氏が和服姿でみえたが、とても立派だった。
昨日から私の風邪が悪化して、胸が苦しくて、横腹が痛む。
薪が無くて、火を燃やすことができず、寒かったので私は早く床に入った。
母はアディを連れてショー氏のお宅へクリスマスツリーを見に行き、楽しい時を過ごした。
しかしその帰路、母とウィリイは危ない事故に遭った。
知らない人力車を雇って出かけたところ、別の人力車に衝突して、こちらの人力車が後ろ向きにひっくり返り、母は背中を痛めたのだ。
でも、その程度ですんでほっとした。