Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第68回−2

1879年1月7日 火曜日 
明日はウィリイが出発するので、今夜の夕食に高木三郎氏をお招きしに私は出かけた。
高木氏は銀座の津田縄の店の二階に住んでいる。
住むには不適当なところなので恥じておられるが、間もなくもっと住み心地のよい地域に引っ越される。
一週間毎日祈祷会が開かれているので教会に行った。
それからウィリイと知事の楠本氏を訪問したが、忙しい最中なので明日来るようにという伝言であった。
外に出ると馬上の福沢先生にばったり出会った。
先生はすぐに馬から下りて、ウィリイに金沢での成功のお祝いを云われた。
石川県令の桐山純孝氏から福沢先生に手紙が来ていたのだ。
福沢先生は英語と日本語をやたらに混ぜて奇妙な話し方をなさるので、何を云っておられるのか分かりにくい。
例えば桐山氏のことを話す時には、こんな具合なのである。
「ミスター桐山イズほんとうにカインドマンけれども、ヒイイズ大層ビジィ、この節、イエス
云いたいことは分かるけれど、とても通訳を勤めていた人の英語力とは思えない。
日本語がある程度は分かるわたし限定の言い方なのだろうか?
夕刻。予定通り、高木三郎夫妻とお逸と富田夫人が夕食にみえた。
高木氏は相変わらず話し好きで、屈託のない様子である。
ニューヨークとサンフランシスコに合計十年もおられたので、アメリカの生活は隈なく見て来られた。
高木夫人は綺麗な若い人で、俗語もこなして英語を自由に話し、服装も流行の先端をゆく。
まるで英語圏の人のように「グッド・グレイシャス!」とか「オオ・マーシィ!」とか「ナット・マッチ」といった感嘆詞を使う。
その上ヤンキーの真似をして、「アイ・ゲス・ソー!」などと云う。
綺麗な服装でオットセイの毛皮のコートを着、可愛い小さい帽子を被っていた。
私たちの質素な生活様式はお気に召さないだろう。