Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第73回−5

1879年4月4日 金曜日
今朝起きると曇天だったが、雨は降っていなかった。
母は昨晩、激痛のため眠れなかった。
私の方は一時頃下に下りてみると庭に面した戸と、居間のガラス戸が開け放しになっていて吃驚した。
誰かが忍び込んでいるといけないので、机の下や屏風の陰を全部調べた。
二人ともお陰で寝不足で、今日はぼんやりしていた。
近くの茶屋でおいしい魚を買い、日本式の昼食をした。
ド・ボワンヴィル夫人が午後母に会いに来られ、ピクニックは無期延期となったと教えて下さった。
松平氏もみえて、しばらく遊んでいかれた。
すっかりアメリカ英語に馴染んで、アディを“卵のエギー”と呼ぶので、アディ嬢はとても厭がっている。
おまけにアディは卵が大嫌いなのだ。
松平氏はオルガンを買われ「クローケーをしにいらっしゃい」と云って下さった。


【クララの明治日記 超訳版解説第73回】
『若き海軍士官の部屋は……お逸の羽織、着物、帯、簪が、我が物顔に占領していた。』
「お逸、貴女、本当に政府高官のお嬢様ですの?」
「……いや、それは、その、うち……狭いしね、仕方ないんじゃない?」
「嘘をおっしゃい! 嘘を! 広大な敷地の中に何軒も家がありますのに。
それになんですの? 『今度する時は、おひさを裸にしましょうよ!』って?
貴女、明治12年当時に女の子同士で“野球拳”をするつもりでしたの!?」
「ちょっとしたお茶目な冗談じゃない。
ま、可愛い女の子の裸を見られるに越したことはないけど♪
そうそう“明治十二年の野球拳”って、タイトルで小説書いたら面白いと思わない?」
「タイトルの段階でパクリでしょうが!
…………はぁ、何度も云いますけれど、この娘がこんな“ちゃらんぽらん”じゃなく、父上の筆まめさの十分の一ほどもあったら、明治史の解明に役立ちましたのに」
「今更云っても仕方ないじゃない、そんなことで責めたって」
「貴女の云う台詞じゃありませんでしょ! ……ふう、しかし確かに詮無きことですわね。
それにしても不思議なのは、どうして“生真面目”なクララと貴女が、一番の親友だったか、ということですけど?」
「こればっかりは論理じゃなくて“ふぃーりんぐ”よ、“ふぃーりんぐ”。
私が結婚した後だと、多分クララの一番の親友といえるようになるのは今回の日記にも登場する津田仙氏(頭はつるっ禿)の娘の梅子さんだもの。
あ、でもでも、いつも愉快な津田仙氏の娘さんが“真面目な”梅子さんなんだから不思議だよねー。
さて、後年のことはさておき、本日の解説解説。
“虫拳”の歴史は古くて、もう平安時代の文献には出て来るんだよ。
それから“じゃんけん”の普及までずっと生き残ったんだから、人間、身近なことを手っ取り早く決める手段が昔から必須だったんだね」
「その関係で、初めて“じゃんけん”のWikipediaを検索してみたのですけれど、なんですの、この異常な充実振り?」
「でも参考文献は“民明書房”並みの胡散臭さだよねー。何処まで正確なんだろ、これ?」
「戦略面まで熱く語っていますわよ、このWikipedia。何処まで無駄な力の入れようですの?」
「それだけ身近で切実、ということなんだろうねー。気持ちは分かる分かる」
「そこ! じっくり読んで“野球拳”に備えようとするんじゃありませんことよ!」
「というわけで“野球拳”の研究に忙しいので、今週の解説は短めで失礼しま〜す」
(終)


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