Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第74回−1

1879年4月5日 土曜日 
今日はこの二、三日の悪天候を埋め合わせるように、陽が輝き空気が爽やかで、土いじりをしたいような気分だった。
というか、実際お逸は今朝庭いじりをしていたのだけど、やって来たお客様とのやりとりが彼女らしかった。
「何をしているのですか?」
「悪戯をしているのですよ」
月曜の向島行きのことを聞きに行ったのだが、お客様の相手をしているお逸を待つ間、縁側のひだまりで袖を繕っているおえいの側に坐った。
「あなたのお国ではこんな面倒なことはなさいませんでしょう」
針を忙しく動かしながらおえいが云うので、私は笑ってつぎをしたところを見せた。
「日本式の縫い方よりずっと手間が掛かるんですよ」
おきくもそばに来て坐り、口笛で犬を呼ぼうとしたが、上唇が短いので上手くいかなかった。
それからお逸と庭に出ると、若い衆が梅と桜を植えていた。
日本では庭いじりがとても好まれる。
勝夫人が来られ、満開の白とピンクの桃を一本下さった。
小鹿さんが昨日向島に行ったら、花は満開だったそうだ。
「なんで男が花見に行くのですか?」
夫人が云われた小鹿さんは「花見じゃなくて、人見に行ったのだ」と答えたそうだ。
私たちは多分来週行くと思う。
ヘップバン夫人には、ずっと前にお約束したように「ご一緒しましょう」と手紙を出してある。
母は今日は気分が悪くて寝ていたが、三時頃に起きて一緒に出かけ、アディはリリー・ベイリーの家へ行った。
午後、ウィリイから良い手紙がきた。
「“ムッカジュマ”にはもう行かれましたか?」
薬屋のイギリス人の店員がそう聞くので、母は吃驚して「そんな場所は知りませんが?」と云ったが、やがて向島のことだと気がついた。
これはミス・ギューリックの「アーリンガト・ゴザリーマス」と同じくらいひどい。