Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第75回−5

1879年4月18日 金曜日 
今日は一日中大変忙しかった。
朝食がすむとすぐ、母がシュウや田中に用事を言いつけるのを通訳するのに十時までかかった。
それがすむと梅太郎の勉強をみたが、よくできていた。
それから春物の服の入ったトランクが富田夫人から着いたので、整理するのにお昼を大分過ぎるまでかかった。
マギー・クレッカーが来て、アディは付きっきりだった。
そのうちお客様が次から次へと見えて、母はお相手した。
夕方勝夫人のところに母と伺った。
でも、すぐお客様で呼び戻され、楽しい話も切り上げなくてはならなかった。
事故以来初めての母の外出だ。
昨日の夜、神田でまた大火があった。
半鐘のけたたましい音に目を覚まし、窓から見ると、白い三日月も星も色褪せるほどの紅蓮の炎が空を赤々と照らしていた。
水曜の午後にも神田の近くの中橋あたりで大火があり、みんなで火の見櫓に上がって火事を見た。
だけど私の目は火事ではなく、美しい風景に釘付けになってしまった。
工学寮、ヤマト屋敷、鍋島屋敷、徳川家の広い敷地、いろいろな寺の美しい屋根。
遠くには高い五重塔などが見え、周りを紺青の海が囲み、その上には何千年の昔、賢い天皇が天から授かった不老不死の薬を隠したという美しい円錐形の富士山が聳え、素晴らしい景色だった。