Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第76回解説

【クララの明治日記 超訳版解説第76回】
「今週はいつにもまして解説することがないですわね。この次の回から怒濤の長文日記連発なのですけれど」
「強いて挙げれば、わたしに対するクララの檄ラブによる嫉妬かな?
“お逸がお嫁に行ってしまったら堪えられない!”って♪」
「はいはい、相変わらず仲の宜しいことで。
わたくしとしては、貴女のお母様の親切さと気さくさこそ、特筆すべき事だと思いますけれど。
ところで、この“蛭に血を吸わせるって治療法”本当に有効ですの? 
しかも今回は日本人医師からの提案ではなく、当時日本国内での最高権威とされたベルツ博士でしょう?」
「厳密にはまだこの時点では東大医学部の主任教授にはなっていないけどね。
でも、今回の蛭による治療は、いたって妥当なんじゃないかな?
アンナ先生の体調不良って、この間、階段の上から落ちた後遺症でしょう?
多分内出血して、鬱血しちゃっている部分があったんだと思う。
それでその部位に蛭を吸い付かせて、鬱血した血を吸わせる、っていう治療方針じゃないのかと」
「いまググってみましたら、この療法、東洋医学ではなく、西洋医学由来なのですね。意外ですわ」
「んー、いわゆる“瀉血”と同じ考えなんじゃない? 
中世の“瀉血”の話を読むと、9割9分、体調を悪化させるためにしか思えないけど。
それに比べれば、蛭は見た目は気持ち悪いけれど、瀉血よりはずっと科学的みたい」
「さて、折角ですから、今回はベルツ博士についての解説をしたらどうですの?」
「名著と云われている岩波文庫の“ベルツの日記(上下巻)”なんだけど……本棚に何年か積んであったり(汗)。
このままだとずっと積みっぱなしになりそうだから、この機会にちょっと読んで触れてみます。
エルヴィン・フォン・ベルツ博士はドイツ人医師で 1876年(明治9年)、お雇い外国人として東京医学校(現在の東京大学医学部)の教師として招かれました。
以後、博士は27年にわたり日本の医学の発展に努め、宮内省侍医も勤めています。
ちなみに奥さんは日本人で、かなり仲が良かったみたいだけど……って、実は彼女について書かれた本も買ってあるんだけど、まだ読んでないや(汗)」
「悪い資料オタクの見本のようですわね」
「そ、その話はともかく!
ベルツ博士の話に戻ると、来日五年後に東大医学部のお雇い教師の主任となり、日本の医学界の発展に努めます。
恐らく今日いる医師の“先生”をずっと上に辿っていくと、殆どこのベルツ博士に行き着くんじゃないかな?
一方、博士の功績で、我々日本人――特に関東在住の方――の一番身近なものといえば、草津温泉に保養所を作ることを勧めたこと。
日本の温泉治療を近代医学の立場から裏付けした最大の功績者がベルツ博士なんだよね。
他にも弓術、剣道、柔術などのスポーツも勧め、特に水泳なんかは博士が推奨して広まったみたい。
江の島の片瀬が海水浴場に適した場所であることを見つけたりしたのもその一環ね」
「健康であるにはまず普段から身体を鍛えることが重要、と考えたわけですのね? 確かに理に叶っていますわ」
「それほど人々にスポーツを勧め、今日残されている写真を見ても“如何にもドイツ人らしい”立派な風体をしている博士なんだけど、実は自分の容姿についてはコンプレックスの塊でね」
「というと?」
「うーん、説明するより、今日残されているドイツに一時帰国した際の旅日記の一節から紹介した方が早いかな? 
長いけど、面白いのでそのまま引用します。
『ドイツ語のできる連中が私を見るとドイツ語で話しかけてくるところを見ると、私自身の体に紛れもなくドイツ的なものが付着していると云わざるを得ない。
恐らくは私の容姿が野暮ったく、ずんぐりしており、私の顔立ちが彫りも深くなく、上品でもないことがそうさせるのであろう。
私が結婚するならば尚更のこと、私は品種改良の意味でもスマートな女を娶らなければならない。
私は自分の姿を鏡に映して見た。
私が嫁を貰うために帰国するのだと仮定して、一体私みたいな男の所へ嫁入りしようと思うような女がいるだろうかと反問せざるを得ないのである。
少なくとも生理的に食欲が起こるような顔立ちではない。勿論私よりも遙かに醜い男もいる。
しかし冴えない私の容貌やずんぐりした私の体つきを考えると、てんで自信が持てない。』
いやー、なんかこのまま、コピペとして普及しててもおかしくないよねーw。
ま、それでも最終的に、やさしくて賢くて美人な奥様と結婚できたのだから“勝ち組”ってヤツなんだろうけど」
「……はぁ、折角ベルツ博士の鋭い批評家としての側面も取り上げようと思っていましたのに、この流れでは紹介するのが馬鹿馬鹿しくなってしまいましたわ。
博士はまだ後のクララの日記にも登場予定ですので、その機会に取り上げさせて頂くことにします」
(終)


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