Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第77回−2

1879年4月30日 水曜日
今晩はディクソン氏のお友達であるペイトン氏とアレグザンダー氏という変なお客があった。
ペイトン氏は金髪青目のハイランドの田舎青年で、バグパイフが吹け、バイオリンも「ピカ一」だ。
全体に静かな人で、一張羅を着た機械工を思わせるが、無論これは第一印象に過ぎない。
アレグザンダー氏の方は貧相な教授風の人で、もじゃもじゃの長い茶色の髭、赤い目、それに真っ赤な団子鼻<但しこれは丹毒のせいかもしれない>をしている。
とても強い訛りがあり、静かで時々他のことを考えているようにみえるが、うまい冗談や洒落も云う。
特に文学とケルト人やスコットランド人の歴史には詳しいようだ。
スコットランドの景色の話となると、俄然流暢になる。
持参のバイオリンにまったく夢中で、胸を締めつけられるような曲を弾いた。
ディクソン氏の話では、劇で人が死ぬ時に使う曲だそうだ。
ペイトン氏は農民の息子なのでリールやジッグを弾いた。
やや退屈の感はあったけれども、バイオリンやオルガンのほか胡琴や月琴が入ったので楽しい夕べになった。
アレグザンダー氏は、初めはスコットランドで、次はイングランド戴冠式に必ず使われる「運命の石」について面白い話をなさった。
これはソロモン王の即位の時に使われたと云われ、英国人がイスラエル民族の流れを引いているという議論のよりどころになっている。
無論歴史的なものではなく、単に文化面についての話だ。
アレグザンダー氏はアイルランドの巨人に石を投げつけたフィンガルの話もしてくれた。
その石は今もフォース河の入江にある。
スコットランドではどの石や崖も由緒があって、余計に興味が惹かれると云っておられた。