Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第81回−4

1879年6月9日 月曜
今朝、母が同人社から帰ってから、ビンガム夫人に会いに。
母はアメリカの土地の税金について公使にお聞きしたいことがあり、私はウィリイに東京で職を見つけていただきたかった。
公使はとても親切に、細々としたことまで教えて下さり、法律の講義のようだった。
「ウィリイ君の勤め口については、私から喜んで探させてもらいましょう」
そこまで仰っていただき、私は大変有り難かった。
ビンガム夫人も相変わらずやさしく、容貌も態度もちっとも変わらず、昔どおりゆっくりと話をなさる。
但し、公使夫妻と一緒に一緒にアメリカから戻ってこられたワッソン婦人とミス・エマ・ビンガムは体調が悪く、気候に慣れるまで私もできた吹き出物のようなもので困っているらしい。
もっといたかったが、ドーニッツ博士が見えたのでおいとました。
メアリ・ハピットに送るお金のことを聞く必要があって、高木氏の家と売茶亭によらねばならなかった。
高木氏はいなかったが、奥様と楽しくお喋りをした。
家に辿り着いたのは二時過ぎで、三時には素敵な車が家に着き、田中不二麿夫妻がみえた。
田中氏は文部大輔、つまり文部省の次官にあたり、ビンガム夫人と非常に親しく、それで近づきになったのだ。
奥様のスマさんは元歌手で、とても美しく、英語も上手な素晴らしい方だ。
アメリカに行ったことがあり、とても感じが良い。
「クララさんは日本語が上手だと聞きました。是非私には日本語で話して欲しいのだけれど」
同行の通訳を通じてそう仰るけれど、奥様自身もどうやら英語の知識が豊富のようで、私はそれを褒めた。
お逸のことをあれこれと聞き――またお逸の“お相手候補”が増えるのだろうか?――宮中服を着た写真を特に気に入っておられた。
二人ともとても良い方たちだ。
「どうぞちょくちょく遊びにいらして下さい」
帰り際に奥様はそう云われ、ご主人もそばから口を添えられた。