Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第86回−4

1879年7月20日 日曜
今朝は芝の英語の礼拝に行ったが説教は無く、ただいつもの朝の祈祷と連祷があっただけで、おまけにひどく短い式だった。
今晩の祈祷会では、津田氏の生徒の一人が、三年前仲間と熊本で受けた迫害について説明してくれ、大変興味深かった。
クリスチャンだと分かると、あらん限りの迫害を受け、一人は投石さえされたという。
非常に面白い話で、半分眠っていた隣人である藤島氏は椅子から身をのり出して、熱心に話し手を見つめていた。
一人の母の試練が描写されると疋田夫人は息を呑んでいた。みなとても興味深げな顔をしていた。
その後津田氏が「アメリカ政府の偉大さは巡礼始祖たちが聖書に基づいて国の基礎を築いたからだ」とごく短く言われた。
それから段々熱してきてこう述べた。
「大アメリカの例に倣い、我々も神の聖なる言葉を日本の礎石といたしましょう。
聖書を持たなかった我々は、二千年の間、何の進歩もなければ慰めもありませんでした。
それをアメリカは二百年のうちに世界の文化、経済を先導する最も偉大な国になったのです」
ここでこの善良な農夫は「もし日本が二千年前に聖書を知っていたらどうなっていただろう」という思いに言葉を途切らせた。
これまでずっとただ黙って聞いていたばかりの生徒が「ちょっと発言したい」と云い、この前の日曜日にここに来る時、草の生い茂った近道を見つけたと云った。
これまではいつも勝家の正門のそばの人通りの多い表通りを通って来ていたので気づかなかったのだ。
これは人によくあることで、永遠の命に続く短いが狭く草の生い茂った道より、破滅に至る広い道を選ぶ。
ここでこの青年は少し混乱してきて坐らざるをえなかった。