Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第87回−1

1879年8月1日 東京・赤坂氷川町 金曜
麗しき国の麗しき日。
自然は生命と美に満ちあふれ歓喜する。
しかしこのような景色と音の調和の中で、私たちの感情はしばしば不調和を引き起こす。
ちょうど一週間前の先週金曜日。
ウィリイは疲れ、旅やつれして、しかし健康で、日焼けして赴任先の金沢から帰って来た。
それ以来、久し振りに彼と一緒の生活を楽しみ、また、いろいろなものを整理している。
シュウとタケに暇を出さなければならなかった。
そして別の料理人と、おかみさんのハルを雇った。
ハルは、私が日記を書いているベランダに出て来てお辞儀をした。
この女中は二十八歳で、なかなかいい顔立ちをしていて、タケみたいに痩せてはいない。
タケは発作的に狂ったようになる。
木曜の夜、二時頃のことだ。
「お嬢様。お嬢様のベットで一緒に寝させていただけませんか?」
タケが二階に上がって来て、いきなりそんなことを云いだした。
当然のことながら私が断ると、今度はアディのベットの下に潜り込んだ。
それでアディが目を覚ましてしまったのだけど、寝起きで混乱していたのだろう。
こんなことを叫んだ。
「手斧を持った人がベットの下にいる!」
結局タケは追い立てられて、玄関の押し入れに入り込み、朝までそこにいた。
父は数日間横須賀に行っていて、まだ帰って来ない。
留守の間に、ミス・リートと私が父の部屋を占領した。
「今日横浜でグラント将軍のために開かれるガーデン・パーティに行きませんこと?」
ミス・リートが誘って下さったのだけれど、母は私を行かせない方がよいと考えた。
今日の午後。
ウィリイと一緒に、加賀屋敷にいるリーラント博士夫妻と、それからメンデンホール夫人を訪ねた。
またウィリイは銀座の二見写真館で写真を撮ってもらった。
ウィリイは銀板写真の作り方を教えてあげたので、写真屋に大変気に入られた。