Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第87回−6

1879年8月7日 木曜
昨夜は恐ろしい雷雨で、轟音とともに近くの家に雷が落ちた。
おまけに地震もあったので、恐怖の一夜であった。
今朝はずっと、洋服のことや使用人のことについて、洋服屋と話をしていた。
田中はなかなか利口だ。
私たちに合う料理人を世話しようとしてくれる。
森有礼氏のお父様である森有恕氏が午後にみえていて、私たちと歓談された。
薩摩の武士で、本当の南国の方言で話されるので、分かりにくい。
殊にしばらくの間、私がおもてなししなければならなかったので……。
彼は威厳のある族長を思わせるような方である。
またウィリイがお気に召しておられるようだ。
友人の将棋仲間と一月に六回も将棋を指すので、とても上達されたそうだ。
午後、クレッカー夫人に会いに築地に行った。
しかし、ソーパー氏の家に移ってしまって、家は閉まっていた。
今築地の小田原町界隈ではコレラが大流行している。
多くの家が竹垣で囲まれ「コレラ厄払い」と書いた黄色い紙が戸に貼ってあった。
蓮華坂を下って来た時に、私のジンリキの竹次郎は、丁度走り始めたばかりで一代の人力車を追い越した。
するとそれは「タケ」を抜き返そうとしたが失敗し、負けて恥をかきたくないので脇道へそれてしまった。
新シ橋に着いてからタケは申し訳なさそうに云った。
「お許し下さい。オジョーサン。
でもあのジンリキは新左衛門<以前のうちの車夫>の友達で、わたしは、あいつには負けたくなかったんです」
私はその説明に満足し、うちの車夫の足の早いことを褒めた。
それでタケは大満足でゆっくり走っていった。