Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第88回−2

1879年8月10日 日曜
今朝は教会に行かずに、アディと家にいた。
午後の日曜学校にも行かなかった。
母が私を静かにさせておきたかったのである。
もしかしたら、今週か来週、私たちは日光に行くかもしれないからだ。
今夜はいつにない大きな集会があり、勝家から九人も来た。
勝家のヤシキの人たちがこんなに関心を持っていることは、とても励ましになる。
金沢先生の奥様で、現矢田部夫人お録さんの母上である金沢夫人も出席された。
しかしこの老婦人は話をしていると不愉快になる。
私が云っていることに構わないで、私の言葉ばかり褒めている。
私――「アナタガ、オチカイカラ、ドーゾ、タビタビ、イラシテクダサイ」
近くにお住まいですから、時々おいでくださいね、という私に、夫人曰く。
「マア! ドーモ、ハナハダ、ヨクワカリマスカラネー、サトーサン! マア! ジツニヨク ワカリマスネ!」
全然話が通じていない。
まったくもって不愉快だ。
それで私は「長いことお坐りになってさぞお疲れでしょう、お録さんはどうしておいでですか?」と尋ねた。
答える代わりに、彼女はそばに坐っていた佐藤夫人に小声で、「キレーダネエ!」と云った。
私はうんざりして、気のいい佐藤夫人の褒め言葉を耳にしながら席を離れた。
それから私は、戸口のところでお茶を飲んでいる内田夫人のところへ行った。
杉田武さんから来た手紙を読んで頂いたお礼を云い、赤ちゃんが亡くなったあの方はさぞ悲しんでおいででしょうと云った。
「ええ、皆さんとてもお悲しみでしょう」と内田夫人。
「赤ちゃんは誕生の時から洗礼を受けていたんですよ」
「え? まあね、あの子は弱い子だといつも思っていました。そのせいでなくなったんですよ」
「…………?」
内田夫人の言葉に私は首をしばらく傾げ、ようやく夫人が“洗礼”のことを何かの病気の名前だと思っていることに気づいた。
疋田夫人はそんな姉の無知を恥じて囁いた。
「違いますよ、お夢姉さん。洗礼というのは宗教の儀式で、病気の名前ではないのですよ」
疋田夫人の赤ちゃんは、いつも集まりに来るが今夜は少し難しがったので、私が抱いて、あやしてあげた。
その間にこの子のお母様は津田氏の聖書の講義を聴いていた。
疋田夫人はうちの集会にとても興味を持っているようだ。
真理を知り、キリストを救い主として受け入れるよう、神が導き給わらんことを祈る。