Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第88回解説

【クララの明治日記 超訳版解説第88回】
「上野でのクララの白昼夢。まるで“実際に見てきたかのような”描写でしたわね」
「まがりなりにも小説家志望だっただけのことはあるよね。
私なんて最初に軽く読み流したときには、実際の光景かと思っちゃったくらいだもの。
多分実際に見聞きしたことのある人たち――うちの父様や大鳥氏などからそれまで色々聞いた話をもとにして書いてるんだろうけど」
「周囲の光景に関しては、クララが見たそのままだったのでしょうけれど、それでもよく描写できていますわ。
丁度今の、現実の季節にもピッタリで、趣がありますし」
「上野公園、昨今では随分と俗化が進んでしまったけど、百五十年前にはクララが白昼夢としてみた光景が普通に繰り広げられていたんだよね。
今でも一部雰囲気は残っているので、この記述を見ながらゆっくり散歩してみるといいんじゃないかな?」
「そんな幻想的な光景から一転、開拓使での買い物についてのやりとりは、現実この上ありませんけれど」
「まるでコントだよね、吉沢氏とのやりとりは。タイミングもピッタリ!」
「この時以外のクララの買い物の描写でも分かりますけれど、まだこの当時の日本での商取引においては、正札取引は少数派で、現在でも諸外国のバザールではごく普通の、値引交渉を交えての取引が普通だったようですわね」
「この場合、取引相手が政府機関である北海道開拓使なんだから最初から値札なんてなかったろうし、そもそも一般の日本人だと売ってることさえ知らなかったんじゃないかな?
というか、クララの日記のこの描写がなければ、開拓使がたとえ外国人向けであろうと、野菜や果物の販売やっていたなんて思いもしないわけで。
この件については一度詳しく調べてみると面白いかも?」
「そもそも、北海道を開拓するのが目的の開拓使が東京にもあった、ということ自体、世間一般には知られていないと思いますわよ」
「本部が東京にあったのは、現在の官公庁の在り方から見てもごく普通だし、野菜や果物を育てていたのは、北海道で栽培するのに適したものを見極める、という意味があったんだろうねー」
「そう云えば、以前このコーナーでも少し取り上げた開拓使女学校も開拓使の直轄でしたわね、森有礼夫人や大鳥姉妹も通っていらした」
「うん、そう。ちなちに何故開拓使が女学校なんかを開設したかといえば、今の時代から考えるとトンデモ目的なんだけど『北海道在籍者と結婚させること』だったり」
「なんですの、それは!?」
「いやいや、本気で大鳥圭介氏や黒田清隆氏は、北海道に進んで渡り開拓に勤しむ男たちには、実際に彼らの仕事を支えられる教育ある妻が必要である、ひいてはそれが北海道の子弟の教育に繋がる、と考えていたみたい。
とまあ、そんな“コブつき”目的の開拓使女学校だけど、それと引き替えに授業料は完全無料! 
明治初期に、優秀な外人教師から直接教えを受けて無料なんだから、それなりに“代償”は必要だったわけ」
「……個人的には極めて納得できませんけれど、それで納得して入学した女生徒の意志を一概に否定する権利は誰にもありませんわね。。。」
「ちなみに、大鳥家のひなさん&ゆきさん姉妹は、莫大な違約金を積んで退学してるけどね!」
「一体どういう了見ですの、大鳥氏は!?」
「おひなさん、クララの日記からも垣間見られるように、スゴイ性格してるからねぇ〜。
お父様の云う事なんて聞きやしなかったみたいで。
ちなみに違約金は二人合わせると、政府高官である大鳥氏の年収の半分くらいだったみたい。
実質上の開設者なんだから、踏み倒せそうなものだけど、律儀に払うのが大鳥氏らしいかも?」
「そう云えば、森有礼夫人も何か在校中にトラブルがあったとか?」
「うん、こっちのほうが有名な話だよね。いわゆる“広瀬常結婚問題”。
傍目からは面白いと云えば面白いけど、中身はトンデモ話だから、また機会を改めて」
(終)


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