Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第93回−2

1879年9月17日 水曜
「手芸の材料をいろいろ買いたいのでお店を紹介してくれませんか?」
大山夫人がそう云うので、今朝、母と大山夫人とお逸と一緒に横浜へ行った。
私たちは一等車に乗った。
家康の命日に当たり、沢山の人が遊山に横浜に出かけるので、二等車は大混雑。
北洋船ベガ号を見物に行く人たちもいた。
ノルデンシェルド教授が希望者を招いたそうだ。
ウィリイはこの偉大な北極探検家――以前は不可能と考えられていた北洋水路を開いたのだ――と、月曜の夜の工部大学校における晩餐会で会ったらしい。
もし男の人が一緒だったら、この有名な船に行って見たかったが、女ばかりなので、日本人がよく云う、カイモノに行って来た。
エドワードの店』へ行って毛織物とカンバスをたくさん買った。
エドワードの妻は、日本人の貴婦人をはじめて見て吃驚していた。
店の人はメズラシイ物でも見るように二人をじろじろ見た。
それに比べると、そばにいる私たちはごく普通の人だった。
ところで、出発する時には天気があやしかった。
「決して雨は降らないわよ。お天気はわたしが請け合うから」
お逸は何故だか自信満々に云う。
で、私たちはお逸を「オテンキノ ウケニン」つまり「オテンキ約束人」と呼んだ。
でもその通り。帰る頃には、太陽は一点の曇りもない空に沈んだ。
私たちはお逸の“子分”である「天候」がいい子だったとウケニンをほめた。
「これからいいオテンキになって欲しい時には、お逸さんに頼むといいわね」
大山夫人は、そう云われた。