Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第101回解説

【クララの明治日記 超訳版解説第101回】
ヨナタンダビデのように固く結ばれたお逸とどうして離れられよう!』
「遂に別れの時期が近づいてきてしまったけれど、クララとわたしの堅い友情を何よりも示してくれる言葉だよね♪
…………って、ダビデの方はともかく、ヨナタンって誰?」
「貴女ね、どんなエピソードか知らずに喜んでましたの?」
「だって、聖書のエピソードなんて一杯ありすぎて、日曜学校で聞いてるくらいじゃ、全然覚えられないって」
「仕方ありませんわね。それでは牧師の娘であるわたくしが解説してさしあげますわ。
ヨナタンダビデの友情について描かれているのは、聖書で云えばサムエル記?の20章。
ダビデの方は流石に分かりますわよね? 古代イスラエル王国第二代国王で、巨人であるゴリアテを倒したとされている勇者ですわ」
「えっと、兵士でもなくただ羊飼いだったのに、投石機だけで三メートル近くの巨人を倒したんだよね、確か」
「その程度なら知ってますのね」
「うん、マスター・キートンの第一巻で読んだし」
「……まあ、いいですわ。突っ込みを入れるだけ疲れますから。
ゴリアテを倒したことでダビデは有名になるのだけど、彼が仕えていたイスラエルの初代の王がサウル王で、その息子がヨナタン
ダビデヨナタンは身分の違いを越えて固い友情で結ばれていたのだけれど、ここで問題が発生しましたの。
ダビデの名声が高まりすぎて、サウル王に妬まれるようになったのですわ」
「洋の東西を問わず、よくある話だよねー。有能すぎる部下を厭う王様って」
ヨナタンダビデが立てた友情の誓いはこうですわ。
『父サウルがダビデに危害を加えようとしていても、ヨナタンダビデの味方をする。
そしてたとえヨナタンが死んだ後も、その子孫をダビデは守る』
事実ヨナタンはこの誓いを忠実に果たし、父王サウルの刺客からダビデを逃がします。
その後、ヨナタンは他国との戦いでサウル王と共に戦死しますが、ダビデヨナタンとの誓いを忘れませんでした。
ダビデは、王位を“簒奪’することになったものの、ヨナタンの遺児メフィボシェトを厚遇。
このメフィボシェトは、後にダビデ王に対する王子アブサロムの反乱がおこった際、不審な動きが伝えられるのですが、ダビデはあえて彼を処罰しませんでした。
勿論「ヨナタンの子孫を守る」という誓いのゆえですわ」
「ふーん、そういうエピソードなんだ。
でもそれだと結構ありふれた話なんじゃないの? 我が国でも普通にありそうだよ?」
「この話の肝は、二人の友情の形が“ただの感情によるもの”ではなく“誓い”として果たされたことですわ。
この話が聖書の重要なエピソードの一つとされているのは、実はこの“誓い”が“神との約束”と同義とされているからですの。
ひとたび“神との約束”がなされた場合、それは決して感情に左右されることなく、絶対に果たさなくてはならない、ということね」
「なんていうか、その、やっぱりキリスト教って極端だよね」
「正確にはキリスト誕生より約一千年前の話ですけれどもね、このエピソードは。
宗教としては本質という意味では変わりませんけれど」
「そっかー。大変だねぇ、一神教の世界は。
でもまあ、それほどクララが私との友情を大切に思っていた、ってことで私は満足かな?」
「……満足しているところを悪いんだけどね、お逸。
残念ながら、貴女とクララの友情は子孫には引き継がれなかったみたいですわよ」
「……えっ?」
「先週紹介した貴女の娘さん、クララの娘さんが戦後日本に来たいと言ってきた時“来たいなら勝手に来れば? お金は出さないけど”と答えたそうですわ。
結局貴女のお姉さんである疋田孝子さんの子孫が受け入れ、クララの日記が日本に戻ってくることになるのですけれどもね」
「…………………………(涙)」
(終)


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