Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第102回解説

【クララの明治日記 超訳版解説第102回】
「本当に影の薄かったクララのお父様、ウィリアム・コグスウェル・ホイットニー氏ですが、こうして家族に先立っての帰国となりました」
「実質的には今日の一橋大学の初代校長みたいなものなんだけどねー。
教師としてはそれなりに信望があったことはクララの日記の記述以外からも確かなんだけど、如何せん、明治八年段階では“商業学校”の意義が分かっていて、しかも大金を投資できることが出来たのは、うちの父様くらいしかいなかったというわけで。
慢性財政難は解消されず、敢えなく高給取りのお雇い外国人はクビということに」
「ただ、クララは以前父親を“追放”した“初代校長”矢野二郎氏のことを日記で散々に批判していましたけれど、矢野氏が最低限の礼儀はわきまえていたことが、旅立ちの日に見送りに来ていることから分かりますわね。
実際この後、更に“東京商業学校”の経営は悪化。しかも国も東京府も見放し、実質経営破綻。
矢野氏が私財を投げ打っていなければ、津田氏や中村氏の学校と同様、私塾の延長レベルで終焉を迎えていた筈ですわ」
「でも私財を投げ打った結果、後に矢野氏は暴走。
大学だけでなく学生の私物化まではかった咎で、大学を実質追放されるのだから、結局誰得だったんだよ!? っていう話だよねー」
「学生でしょ? そこで学んだ」
「いや、そこ、素で返されても困るんだけど。。。」
「内田夫人、つまりお逸の一番上のお姉様が永遠の別離を惜しんでいますが、事実1882年11月にクララ達が再来日した際、ウィリアム・ホイットニー氏の姿はありませんでした。
再来日直前の8月末にロンドンで亡くなっていたからです」
「私、クララと一番つきあい深い筈なんだけど、お父様とはまともにお話しした記憶、一切ないもんなあ。クララも全然話題にしないし」
「不遇な人、の一言で片づけるには足りない、なんというか、本当に“残念な人”という感じですわね。
日本に来たのも、元々はアメリカで経営していた学校が傾いたから。
日本に来たものの、当初の約束は反故に。勝氏の援助などで辛うじて学校は開設したものの、立場はあくまで“お雇い教師”。
しかも経営が傾くと日本人からの散々の嫌がらせの末に、真っ先にクビを切られる始末。
再就職先である津田氏の学校での講師の立場も、アンナさんとクララが津田氏と親しかったから、としか見えませんものね」
「家庭内での権力は、ほぼゼロだし。普段から娘には“役に立たない人”扱い。
今回分の日記のこの一節も本当にひどいよねー。
『父はとても紳士的に――私はこの言葉を何度も繰り返しているが父は今まで離れた存在だったのであまりよく知らなかった――』
まるっきり今まで“眼中になかった”って白状しているようなものだもの」
「更に後にホイットニー家が再来日する際もそうですわ。
クララとクララのお母様はキリスト教伝道目的、兄のウィリイ氏はクリスチャン・ドクターとして日本で働く、と云う明確な目的をもって再来日するのに、ウィリアム氏は少なくとも確認できる限り、日本での職のアテがあった記録がありませんわ。
実際、もし存命していて日本に再びやって来ていたとしても“居場所”があったようには思えませんわね」
「それでも“大切な家族だった”と分かるのは別れてから、というのは……よくある話だとは思うけれど、やっぱり皮肉だよね。
ちょっぴり身につまされる話かも?」
「さて、暗い話はとりあえず、こんなところにして。
来週は一転、明るいクリスマスの話になりますわ」
(終)


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