Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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クララの明治日記 超訳版第106回−1

1880年
新年 1880年 元旦 木曜 東京
訪問客は早くから来だしたが、掛け取りはもっと早かった。
魚屋は午前三時に請求書を持ってやって来た。
勝氏のところからは小さな玄亀が最初に来て、たわいのないお喋りをするので面白かった。
「クララさん、どうしてそんなに鼻が高いの? ああ、わかった。外国人だからね。
でも僕のみたいにかっこよく低くしたいなら、ただ『ぼくぼく』って云えばいいんだよ」
そう云って玄亀は、ほとんど目に見えないほど小さい自分の鼻を、小さな人差指でトントンと叩いた。
「でも小さい時にこれを知らなかったから、きっとこうしたんだね。『ぼくぼくぼく』」そう云うと、小さな鼻をつまんで引っ張り上げた。
玄亀はお茶目な子だ。
一日中お客がいっぱいみえ、夜にはパーティをした。
勝家の人が揃って晴着を着て年始に来られ、縁起の悪い『し』を何とか云わないようにとても気をつけておられた。
未来のマーシャル夫人のミス・キャンベルが到着し、土曜日に式をあげる予定。
大学の青年たちは今晩彼女にセレナードを聞かせるつもりでここで一晩中練習をして行った。
ペイトン氏はバイオリン、ディクソン氏は笙、ウィリイはフルート、残りは他に適当な楽器もないので肺を使う。
ウィリイとディクソン兄弟とは今日一緒に馬に乗って出かけた。
今晩は若い男の人たち全員、合計八人の人がここに来られた。
私たちはポップコーンの作り方をお見せしたが、皆一度も見たことがないので、ディクソン氏は作り方を教えて頂いて有り難うと私に仰った。
「僕には夕食に出たおいしい、素敵なオレンジ・ゼリーの作り方を是非教えて下さい」
弟のジェイミーはそう云った。
私としてはイギリス人たちが何でも珍しがるので面白かった。
ジェイミーは本を書きにアメリカに来ることになっている。
アメリカの旗は嫌いですが、アメリカ女性の目は好きなのですよ」
本当に面白い人だ。