Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

帰ってきたクララの明治日記 第2−3回

1883年1月22日
昨夜はまた地震で眼を覚ました。
18日のほどではなかったが、相当強くて胸がどきどきした。
私たちは、母の指図が無くても、どうやらうまく家事をきりまわしている。
ここに来てから、前の使用人の金太郎とハルを雇っている。
しかし、金太郎は私たちの食物の中にナイフの先や、錆びた針を入れるようになったので、急に弱って来た体が回復するまで、金太郎に少しの間暇をやる、つまり暇をだすことにした。
近頃ひどくお洒落をして、長靴をはき、青いタイツ、防水のジャケツを着て、かがり針で衿元をとめており、おまけに布製のヘルメット帽をかぶっている。
その格好はとても滑稽なのだが、気取って尊大ぶっていて何物にも動じない――床にビフテキを落として、拾うのにかがまなくてはならない時でさえも。
ハルは玉のようによい人だが、いくらハルが素晴らしくても、夫をおいておくわけにはいかない。
そして内田夫人がいみじくも言われたことだが、この二人はくっつき合っていて、とても引きさくことはできない。
梅太郎は、長崎行のことでは強情だ。
しかしみんなそれには反対しているのに、自分の家ではあまりこのことについては話し合っていない。
勝氏は誰でも自分の意向に従うべきだと信じておられる。
しかし母をはじめ、ウィリイもショー氏も私も、梅太郎と話し合った。
それでも梅太郎は丁重に、しかしはっきりと「ハラは決まっている」と断言した。
それでも、母と私がお逸さんと話し合ったあとでやって来て、頭をさげて云った。
「……両親のいうことをきくことにしました」
だから梅太郎はここで前と同じように暮らしている。
この前、日記を書いてから雪が降った。暖かい日が間にはさまって断続的に冬が来る。
そして母は段々よくなっている。