Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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帰ってきたクララの明治日記 第5回解説

【帰ってきたクララの明治日記 超訳版解説第5回】
「かくして、アンナ・ホイットニーは49年の生涯を日本で終え、青山墓地に正式に葬られた最初の外国人となりましたの」
「アンナ先生のご冥福を謹んでお祈りします。。。」
「アンナ・ホイットニーと日本との関わりは、本当に“奇縁”と呼ぶのが相応しいものでしたわ。
クララの日記からは想像できませんけれど、元々は厭世的な思想の持ち主でしたの。
そんな彼女が変わるきっかけとなったのは、夫ウィリアム・ホイットニーの実業学校に一人の日本人が留学してきたことでした。
彼の名前は富田鉄之助。クララの日記の前半では頻繁に登場した富田夫人の旦那様で、勝海舟直系の弟子。そして後の日銀総裁となる人物ですけれど、彼がアンナに『是非聖書を読んで欲しい』と頼みこみましたの。
これがアンナ・ホイットニーが伝道の志を持つ直接の動機になったのですわ。
ホイットニー家の訪日の実質上の推進役はそんな彼女で、そんな彼女が自らの意志で日本に、日本人の中に葬られることを望んだというのは、本当に“奇縁”によるものとしか云いようがありませんわね」
「ちなみに富田鉄之助氏は、小鹿兄様がアメリカ留学に行く際に父様が付けた付添人ね。
維新の時に慌てて一度日本に帰ってきてしまったんだけど、父様に一喝されて再留学することになって、その留学先の一つがクララのお父さんの学校だったというわけ。
だから、歴史にもしは禁物だけど、富田氏が父様の弟子になっていなかったら、まず間違いなくクララ一家は日本にやって来ていなかったわけで、確かに“奇縁”だよね」
「こういう経緯で伝道を志したことから、アンナ・ホイットニーは生涯特定のキリスト教の教派には属さなかったようです。
正確に云うと、後に長男のウィリアムの結婚相手となる女性の一家の属する宗派と関わりはあったようですが、クララの残した記録を見る限り、その宗派に属したわけではないようです。これはクララも同様ですけれども」
「だからこそ、うちの二人の姉様は抵抗なくキリスト教を受け入れたんだろうし、父様に至っては“もし信じるとするならホイットニー夫人の教えがいい”とまで云わせた由縁なんだろうね」
「逆に云うと、そのために日本に伝道に来ていた一部の宣教師やその家族達からは、白眼視されていたところがあるようですけれどもね」
「それでも最期の最期まで伝道の志を果たそうとしたんだから、やっぱりアンナ先生は凄いよね」
「貴女の義母様も凄い方だとは思いますけれどね。
クララたちは一生懸命、日本人の信徒を増やそうとしていて、実際貴女の二人の姉、少なくとも下の疋田夫人は正式に改宗までしているようですけれど、何故かクララ自身は勝夫人の改宗に拘っていませんの。
その理由は……彼女が母を失ったクララにかけた今回の日記に記された言葉で分かりますわね」
「義母様が宗派の違いを越えた、本当の“人を思いやる心”を持っていることを知っていたからなんだろうね。
実際私もこの言葉にはホロっときちゃったし」
「悲壮感しか漂よわないこの日の日記に示された唯一の明るい、前向きな言葉ですものね。この言葉だけで、巷の一部で云われている“たみ夫人悪妻説”なんて根も葉もないものだと分かりますわ。
義理の娘、有り体に云えば、妾の娘である貴女との関係も極めて良好だったのはクララの日記からも明らかですし」
「……うん、認めたくはないけれど、父様と義母様の間の揉め事は大概父様側が悪いことばっかりだと思う、ファザコン気味の私でも」
「さて、話を本筋に戻して、かくして母との二人三脚で歩いてきたクララの人生は大きな分岐点を迎えました。
そして一度目の離日と大親友であったお逸の結婚で“少女時代”を終えていたクララの、二度目の大きな変化、本当の“大人”としての生活が以降始まっていきます。
日記もこの後、随分と変質していくのですけれど、それは来週以降紹介していきますので、今後ともしばらくお付き合い下さいませ」
(終)

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