Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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帰ってきたクララの明治日記 第8回−3

1883年6月19日 火曜
ユーイング夫人が来週土曜日に出発されるので、その前に一度お目にかかりたいと思って、先週土曜日に加賀屋敷に出かけた。
本当によい訪問であった。
それから健康を害しておられるフェノロサ夫人をお見舞いした。
夫人はとてもやさしく、母のことをいろいろ親切に話してくださった。
夫人の話によると、丁度二ヵ月前あの悲しい日に、フェノロサ氏は日本人クラブのディナーに出席し、日本人たちの悲しげな顔を見て大いに心を打たれた。
日本人の大部分は入ってきて眼に涙をうかべ「お葬式に行くので失礼します」と言ったそうで、フェノロサ氏は彼らの深い悲しみに感銘をうけたそうである。
小崎弘道氏は日曜日の夕方ここで説教した。
集会の前に話しあった時、彼は勝氏が母の生涯と、その静かな臨終に示されたキリスト教に非常に感銘をうけたという話をなさり、こう云われたそうだ。
「臨終の時あのような静かな力をもち、あれほど子供たちによく本分を守らせているのは、信仰の力にちがいない」
小崎氏によれば、勝氏はキリスト教について話をすることに常に興味を持ち、かつ喜んでおられるそうだ。
小崎氏はまた、実例の力について勝氏の言われたことを話した。
えらい賢者たちの説明より、幼子の生命のあかしのほうが勝氏にとっては、強い影響力があると言われたそうである。
小崎氏は、また次のように言われた。
「日本人のためには平信徒の伝道活動が最も大切である。
日本人はどちらかというと、宣教師より平信徒の言うことをよく聞くから、平信徒の方が、日本人の心によりたやすく訴えることができる」
小崎氏自身も、平信徒のキャプテン・ジェーンズという人によって改宗した。
この友人のジェーンズに注目していた当時、それが宣教師だったら、耳を貸す気にはなれなかったであろうと。
またある人は、信州に一つ教会を建てた。
少なくともそのきっかけを作った。
つまりその人は、弟子たちのうち数名を改宗させ、そしてこの人々はのちに日本国中で最も大きく、最も栄えた教会の一つを建てた。
しかもその人はこの地に僅か六ヵ月しかいなかったのである。
その数ヵ月を何と効果的に過ごしたことであろう。
日曜日はアディの誕生日であった。
たまたま母の亡くなった命日の十七日であるが、私たちはこの日をできるだけ楽しいものにし、妹に、わが家の光がなくなったことを淋しく思わせないように努めた。
昨日はトルー夫人とクレッカー家の人たちが、今夕は勝家の婦人たちが来られた。
私に新しい生徒ができた。
お父様の献吉氏が朝鮮の釜山浦で総領事をしている前田嬢で、なかなか有望のようである。