Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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帰ってきたクララの明治日記 第10−3回

1883年12月11日 火曜
午後エマ・ヴァーベックが訪ねてくれて、くつろいでおしゃべりをした。
とてもいい人で、私はエマを尊敬している。
あしたは兄と横浜に行き、いただいた縮緬をチングリー洋服店で仕立てさせる。
横浜に行くといつも私は憂鬱になる。
そこで見た光景で胸がむかつく思いで帰って来る。
酔っぱらった水夫、堕落した日本人、多かれ少なかれどこの港でも見られる雰囲気などが私をうんざりさせる。
日曜日は、氷川町に引っ越してちょうど一年目。
大切な母を奪い去った恐ろしい病気が始まった、あの苦しく悲しい夜のことは決して忘れられない。
たった一年前――そして今墓石を建てている。
しかし母はあの大理石の下にはいない。
母は白い衣の天使に囲まれて天で、私を待っていてくださる。
いつも私が旅に出た時には帰りを待っていてくださったように。
毎日天の門を入る人々の中に、私を探して、失望なさいませんように!
日曜日に私が話したことを生徒たちがよく聞いてくれたので本当に嬉しい。
玄亀がこんなことを質問してきた。
「キリストを知っていながら、キリストヘの信仰を告白しない者は救われるのか。
それとも、キリストを知らなくとも、自分から正しいことを行なう者が救われるのか」
またこんなことも聞いてきた。
「キリストが天に昇り給うた時、その肉体はどうなったのか」
玄亀の年齢で、こんな質問をするとは驚くべきことだ。
母が私のために祈ってくださった言葉がたえず心に甦える。
「おお、神よ、神の道を歩まんとするこの若きあなたの仕女をみそなわし給え、彼女に祝福をたれ給え」