Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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帰ってきたクララの明治日記 第11回解説

【帰ってきたクララの明治日記 超訳版解説第11回】
「今週は古き日本人の死への在り方と死者に対する敬意、そして弔いの方法が如実に現れていましたわね」
「根本のところは殆ど現在の日本人も変わらないと思うけどね。
ただ“死に対する覚悟”が今の時代とは全然違ったんだと思うよ。
男性の場合は歴史を振り返ればもっと顕著なのは明白だけど、クララの日記を見ていると女性でもそんな感じが伝わってくるよね。
ただ生きながらえるためにこの世に留まることを潔しとしない、というか。
西夫人の場合は、キリスト教的価値観が入ってきているから、ちょっと例外かも知れないけど、根本はやはり“日本人”って感じだよね」
「日本に来たばかりの頃のクララなら、キリスト教を知らず、あくまで素朴な原始宗教的な考えしか持たない内田夫人のおば様の死に対する感想も違ったのでしょうけれど、この頃になると随分と日本人の感性を理解できるようになっているようですわね」
「だね。日本に来たばかり頃は日本人の原始的な信仰そのものを馬鹿にしているような感想が日記に綴ってあったし。
クララの日記をここまで読んで、改めて来日当初の日記を読むと、クララの変化に吃驚すると思うよ」
「それはクララがキリスト教への信仰の在り方と、日本人の価値観そのものの区別がつくようになった、ということでしょうね。
信仰心の厚い西洋人が日本人を本当に理解しようとする時、超えないといけない壁がきっとここなのだと思いますわよ」
「一時的な滞在者の記録は、普通はそこがごっちゃになって“変な民族”という感想が最初に来ちゃうから。
もっともそれも良かれ悪しかれだけどね。
変な誤解をして、日本人をただ絶賛するだけの外国人も結構いるんだな、これが」
「この頃になると、クララもバランスが取れてきた、ということかしら?」
「うん、そんな感じかな? 母親を亡くして約一年。
キリスト教の信仰心とは別に、アンナ先生に対する日本人の追慕の情を目の当たりにして、色んなものが咀嚼されてきたこの頃が丁度良いバランスだったんだと思うよ。
何故って? うん、この後のクララの日記には記されていないけれど、クララ、結局最後のところでは日本人の価値観と折り合いが付かずに、アメリカに子供たちを連れて帰ってしまうことになるから。
さっき云ったようにクララの日記には記されていないけれど、友達だった津田梅子さんとの手紙のやりとりなんかが残っていて、日本人の直接的な信仰心ではないんだけど、信仰心にも関わってくる日本の教育問題に対する考え方で随分苦悩したみたいだから。
……もっとも、私の娘の証言やその他勝家の親族の残した証言によると、うちの愚弟の不甲斐なさが日本を出て行った一番の原因だった気がしないでもないけれどね(汗)」
(終)