Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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【第15回】独立行政法人
民主党マニュフェスト要旨より
【政策各論】
〈1〉無駄遣い
 ▽独立行政法人は全廃も含めて抜本的見直し
さて、突然ですが問題です。以下の5つの組織のうち、独立行政法人は一体何処でしょう?
1.造幣局 2.国立病院機構 3.国立がん研究センター 
4.住宅金融支援機構 5.大学入試センター


回答の前に、まず独立行政法人の目的と必要性を見ていきましょう。
独立行政法人とは「国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要のないもののうち、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるもの又は一の主体に独占して行わせることが必要であるものを効率的かつ効果的に行わせることを目的として、この法律及び個別法の定めるところにより設立される法人」をいいます。
簡単に云えば。
「国が直接やる必要はないけれど、民間では不採算で切り捨てられる恐れのある業務、もしくは民間競争に任せられない業務」をやる団体のことです。
これは元々行政改革の一環で始められたもので、公務員数の削減になると同時に、民間視点によるサービス向上、資金は原則として民間と同じく自己調達、法人の所得税や固定資産税など公租公課の納税義務まである、ということで、納税者たる一般国民的にも、予算削減したい財務省的にも「おいしい話」ということで、積極的に導入されてきました。


で、冒頭のクイズに戻りますが、この中で「国直轄でなくても大丈夫」と常識的に考えられるのは、2と3の病院関係と、4の住宅金融支援機構くらいでしょうか? 
5の大学入試センターもそうですが、1の造幣局など国直轄以外考えられません。
ですが。
結論として云えば、5つの機関とも独立行政法人です。
造幣局が国直轄でなくていいのか!?」と普通驚かれると思いますが、実はこの独立行政法人には二種類あるのです。
特定独立行政法人」と「非特定独立行政法人」の二つです。
前者に関しては「業務の停滞が国民生活又は社会経済の安定に直接かつ著しい支障を及ぼすと認められるもの」であり、この団体の役員及び職員は国家公務員の身分が与えられています。
当然造幣局は前者に当たるわけですが、実は全99ある独立行政法人のうち、この特定行政法人はたった8しかありません。大学入試センターですら非特定型なのです。
意外なことに国立病院機構は特定型なのですが、これは歴史的経緯によるものと扱っている病気の特殊性によるもののようです。


さて、以上見てきた独立行政法人ですが「民間同様」と謳っても、実際には不採算で明らかに民間に出来ない分野も任せている関係で、多かれ少なかれ、国から補助金が出ています。
民主党の主張する「無駄」には、この独立行政法人に対する補助金、並びに「公務員の天下り先」が含まれているわけですが。
いま見てきた経緯の通り「本来国が行っていた、採算の合わない業務」を民間に払い下げた格好ですので、補助金が出ないと存続し得ません。造幣局だからといって、お札を刷って収益を上げる、なんてことは出来る筈もないわけで。
独立行政法人の実施する事業について不要な事業や民間で可能な事業は廃止し』
と民主のマニュフェストには書いてありますが、実は小泉内閣の時にかなり統廃合を済ませているのです。以下をご覧下さい

悪名高き水資源機構などはまだ存在しますし、まだ少し統廃合が可能そうな分野はありますが、基本的に残ったのは基礎研究部門が多いため、事業廃止すると、主に大学などの先端技術研究者の行き場がなくなります。お知り合いに大学の理系部門出身者がいる方がいれば、この話が事実かどうか確認は出来るでしょう。
そもそも、日本原子力研究開発機構なども独立行政法人なのですが、これを民間に任せると、IAEAがすっ飛んでくることになります。
更に不可解なのは同じくマニュフェストで『国が責任を負うべき事業は国が直接実施することとして、法人のあり方は全廃も含めて抜本的な見直しを進める』とある点。
つまり。
「半民間委譲したけど、国直轄に戻すよ」ということで、行政改革に真っ向逆走しています。
公務員の削減&公租公課の納税義務の発生、そして上には上げませんでしたが国に較べれば比較的柔軟な人事体系などの利点を捨ててまで、独立行政法人廃止を訴えるメリットが見えません。
民主党の目的が『日本の基礎研究分野を消滅させ、技術立国日本の、10年20年後の暗黒時代を招来したい』というものでしたら、もう説得の余地はありませんけれど。
(続く)