Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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【第16回】温暖化ガス25%削減
民主党マニュフェストより
【五つの約束】
〈5〉雇用・経済
『2020年までに温暖化ガスを25%削減(1990年比)するため、排出量取引市場を創設し、地球温暖化対策税を導入する』
ここまで明確に恐ろしい金額の増税が謳ってあるのに、不思議とマスコミはこれについて伝えません。
さて、突然ですが問題です。
民主党の主張する25%削減実施を断行した場合、一世帯当たりの負担額(可処分所得+光熱費)は年間いくらになるでしょうか?


回答の前に現状解説です。
地球温暖化対策については改めて説明するまでもないでしょうから省略しますが、いわゆる京都議定書に替わる枠組みを作るため、今年12月、国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)が開催されます。
その場で各国の温暖化ガス削減義務が定められる予定です。
先日総理が発表した日本の目標値は、2005年比率で15%削減。
「民主案と10%しか違わないじゃないか」と思われるでしょうが、これは基準年が違って、民主と同じ1990年比だと8%減でしかありません。
それでも2005年比で4%削減を主張していた産業界は大反発。
日本は既に大幅な削減を実施しており、更なる削減は、コスト面での負担が他国より重く「国際的に不公平」というのが産業界の主張でした。


実際省エネ化が進んだ日本の場合、排出量を1トン削減するのにかかる費用は、政府原案の「14%減」のケースで、最大130〜187ドル(12700円〜18300円)と、欧米諸国に比べ2〜4倍にも。
鉄1トンを製造するのに必要なエネルギー量は、2000年時点で日本の「100」に対し、中国は「129」、インドが「132」と約3割も多く、それだけ他国は余分にCO2を排出しています。
しかし日本が目標達成のため生産量を減らせば、その分、中国やインドの生産が増えるだけで、地球温暖化には何の役にも立ちません。
そのために麻生首相は「日本だけが不利になることがないように国際交渉に全力を挙げて取り組む」と表明しています。それでも中国とインドが同じ土俵に載ってくるとは到底思えませんが。
こういう議論になると「日本の技術を他国に輸出して〜」という意見が必ず出ますが、日本企業の血と汗の結晶を他国に無償又は低額で提供しても、日本企業の競争力が落ちるだけで、日本が「国際社会で名誉ある地位」を占めることなどあり得ません。
発展途上国は先進国が温暖化ガス削減を率先して行うのは「当然の義務」と考えているからで、これは妄想でも何でもなく、温暖化ガス削減交渉の際には必ず使われるフレーズです。


それでも日本の競争力を高めるために、新産業創出のために温暖化ガス削減に繋がる技術を開発すること自体は政策上必要でしょう。
ですが、物には限度という物があると同時に、民主党のマニュフェストにはサラリと恐ろしいことが書いてあって。
では、まず冒頭の回答です。
正解は可処分所得が22万円、光熱費が14万円、合計36万円の負担増です。
更に付け加えると、この政策目標実施で想定されるGDP押し下げは3.2%、失業者は88万人。
なおこの時点で予想されるガソリン価格への「上乗せ分」は1リッター170円。つまり化石燃料自動車には乗るな、ということですね。
(試算は日本エネルギー経済研究所。PDFファイルですがこちらから詳細が読めます)
これに諸手をあげて賛成できる方だけにして下さい、民主党に投票する方は。
あとから「聞いてないよ」と云っても無駄です。マニュフェスト――じゃなかった「政権政策集」でしたね――に書いてあるのですから。


なお、もう一点、念押しで注意しておきますが。
「どうせそんな無茶な数字、実行できるわけがない」
そんな方も多いと思いますが、これは国内向けではなく国際公約です。
「鳩山総理」が前述の国連気候変動枠組み条約締約国会議の場で「日本は25%削減」と云った時点で、日本の国際公約になるのです。後でまた政権交代して「この間の公約はなしね」といっても無駄です。
そして公約が果たせない場合はマニュフェストにある『排出量取引市場を創設し、地球温暖化対策税を導入する』の項目が生きてくるわけですが、これもまた恐ろしい話で。
非常に簡単に説明すると。
「日本が削減できなかった分、各国に負担して貰う。そのお礼に、日本企業・日本国民から集めた税金をその国にプレゼントする」
そんな素晴らしいお話なのです、この排出量取引市場というのは。
地球温暖化で日本がどうにかなる前に、日本経済が壊滅します。


重要なことなので、最後にもう一度いいます。
「年間負担が一世帯当たり36万円? 地球の未来のためにはこれくらい安い安い」という方だけにして下さい、民主党に投票するのは。
貴方の周りの方にも是非聞いてみましょう。
「36万円増税になるけど、地球環境のためには仕方ないよね」と。
(続く)

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